カジノロワイヤルの手帖

banのスットコドッコイ映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

「パニック・裸の王様」開高健

パニック・裸の王様 (新潮文庫)
読んだけど感想を書いてなかったので今書いときますよ。
開高健といえばわたしゃ高校の教科書に一部が載っていた「パニック」ぐらいか読んだ事が無かったのです。あとはおぼろげに「釣り好き」「美酒美食家」「サントリー宣伝部出身」ぐらいのイメージしかなくてまあなんだ、なんかオヤジ臭いというかサライ臭いというか、正直読んでみようとは思わないタイプの作家だったんですが、ふと「パニック」を全部読んでみようと思い立って買って読んだらこれがまあ。収録作「パニック」「巨人と玩具」「裸の王様」「流亡記」その全てが面白かった!
いずれも舞台や設定はバラバラながら「人間社会が生み出すシステムの怪物性と、それに呑みこまれてあえぐ個人」を一貫して描いてあります。特に「巨人と玩具」の製菓会社宣伝デスマッチの凄絶さは世間のリーマンの皆様なら一斉に身につまされること必至。かつ宣伝部時代の実体験に基づいたと思われるディティールがまた興味深い。文章も濃厚で骨太。いやオヤジ臭いなんて言ってホントすまなかった健。
初期短編集ゆえに後に花開く釣りや酒の薀蓄はほとんど出てこないので、そういうのが苦手な人でも大丈夫。これで開眼してその後色々著作を読み漁りましたが、その話はまた後日に。