カジノロワイヤルの手帖

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「あなたに似た人」ロアルド・ダール

あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))
有名な本なので買って読んでみましたよ。いわゆる「奇妙な味」小説を代表する短編集ですが、正直、同じ「奇妙な味」なら阿刀田高の方が切れ味よくて面白いと思ったであります。有名な「味」「おとなしい凶器」「南から来た男」の3編の有名たる所以を確認したぜ、という読後感でした。たしかにこの3編は面白い。面白いが、しかしこれミステリーなのか?一般にはミステリーのジャンルに入れられるようですが、ミステリーとして読んでしまうと上記3編以外はかなり厳しいような。最初からミステリーの枠を越えた心理小説と思って読んだ方がよいかも知れません。

作者のロアルド・ダールは最近だと『チャーリーとチョコレート工場』の原作の人ですが、私に取っては007でも屈指の怪作『007は二度死ぬ』の脚本の人です。姫路城をニンジャの巣窟にしたり阿蘇山を悪の秘密組織の基地にしたり、ボンドが胸毛を剃って日本の漁師に変装したりという無茶のかずかずはこの人の所業でした。珍作好きとしてはダールさんグッジョブですが007好きとしてはダールお前ちょっと来いコラという相反する感情が湧きます。