カジノロワイヤルの手帖

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日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日 [DVD]
先週、録画物をチェック。15年ぶりの鑑賞。
終戦の日の八月十五日正午、玉音放送。それをめぐる軍部と内閣と官僚と宮内庁との丁々発止の政治戦。暴走した陸軍によるクーデター。劈頭、太平洋戦争の情勢を綴った淡々としたテロップに始まり、最後は終戦以後の事について淡々としたナレで締めくくる、その淡々としたテンポは最後まで貫かれるのに、この稀に見る面白さはどうだ!
脚本の橋本忍、グッジョブ。何十人もの人物が関わる24時間の出来事を、たった2時間半に圧縮して語る手際の良さ。そして監督の岡本喜八、超グッジョブ!雇われ仕事の上に、自分には全く興味のない軍上層部の話なので、ビジネスとして割り切って撮ったとも言われてますが、それにしてもこのカッティングの小気味よさとテンポの良さは圧倒的で、例えば映画が始まってタイトルがババーンとでるまで20分以上あるのですが、その間まったくダブつきがなく、タイトルが一つの小クライマックスを形成するような緊迫感。その後も張りつめた雰囲気で映画は最後まで疾走します。このテンポの小気味よさは世界的にみてもオンリーワンでしょう。もしこの小気味よさを体現している監督が他にいたら、是非教えてほしい。ほんとに。
キャストも物凄いです。ここには書きませんが、キーワード等からたどれば、いかに凄い面子が、いかに大量に出ているかが判ると思います。日本映画にはこういう時期もあったんですね。
ちなみに昭和天皇は先代の松本幸四郎が演じてますが、ハッキリ顔はでてきません。同居人は「天皇チラリズム」と言っておりましたが確かにそんな感じ。ワハハ。