カジノロワイヤルの手帖

banのスットコドッコイ映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

マッスルモンク

マッスルモンク [DVD]
録画物でチェック。いやあ噂は聞いてましたがすごい怪作でした。英題は"RUNNING ON KARMA"で、ストーリーはズバリタイトル通り。人の前世の業が見える元僧侶(アンディ・ラウ)。人はその前世の業に縛られており、それから逃れることはできない、という経験を散々した結果、業の無限の連鎖を断ち切るべく、探し求めていた仇敵をあえて殺さず許すのであった。


…というと物凄く重く深い映画なのですが、このアンディ・ラウが何故か超絶なマッチョ(肉襦袢着用)で都会でストリッパーをしているという設定なのでまずこのような内容は想像できません。検挙されて夜の町を全裸で逃走する筋肉ラウ!その筋肉ラウは腕も立つので女刑事に手を貸したりしますが、敵も身体を折り畳めるインド人とかぬらぬらして壁に張り付くヤモリ男とか、真面目と不真面目の間を微妙に行き来するキャラなのでますます混迷の度が深まります。


そんな前半の微妙なコメディタッチとは打って変わって、後半はこれがまた黒沢清の映画みたいな陰惨な展開になってゆくのですが、演じているのが筋肉ラウなので真面目なシーンなのに変。またこの肉襦袢がよくできててリアルなだけに真面目なのかふざけているのか判りません。いや作ってるほうはたぶん大真面目だと思うんですが、観てるほうはコメディ椅子とシリアス椅子に尻たぶを半分ずつ乗せているような座りの悪さ。


結局、観終わってもアンディ・ラウが肉襦袢着てまでマッチョを演じる必要がどこにあったのが全く判らないという近年稀に見るナゼの嵐映画。監督のジョニー・トーは『PTU』でもそうでしたが、コメディとかシリアスとかそんなカテゴライズは全く無視して映画を撮っているような気がします。現実はコメディ色でもなくシリアス色でもなく、その両方が混じったカオス色である。ですからシリアスなシーンに突然ギャグ同然の間でバナナの皮が出てきたりするような展開を平気で撮ってしまう。いやそれはいいのですがしかしこの映画の変っぷりはやはり凄すぎ。さらに謎なのがこの映画、香港アカデミー賞で作品、脚本、主演男優賞を取っていること。わからん。うーん、わからん。でもこのわからなさもまた面白い。ということでジョニー・トーの『ザ・ミッション/非情の掟』『ブレイキング・ニュース』『エレクション』の3本は今後の必見映画に認定。