カジノロワイヤルの手帖

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姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏 プレミアム・エディション [DVD]
原作をほとんど知らないままに鑑賞。えーなんというか、非常に論評に困る映画でした。実相寺昭雄監督作なので、ライティングや構図に凝った美しい映像はさすがであります。雰囲気もよろしい。役者も大体においてよかったと思います。特にヘナチョコ文士を演じた永瀬正敏と、ほとんど小林少年のコスプレみたいな田中麗奈(またか!)がよろしい。堤真一京極堂は、台詞がやたら早口で台本そらんじてるっぽいところ以外はいい感じ。阿部寛は例によって純然たる阿部寛でした。つかこの人が出てくるとどんな映画も「TRICK」になってしまうところが痛し痒し。原田知世はこういう浮世離れした魔性の女っぽい役が似合うようになってきましたね。


とまあ、パッと見の雰囲気はとてもよろしいんですが、しかしミステリー映画としてはなんかこう、どうしたらいいんでしょうか先生、と言いたくなるような途方に暮れ感が満点です。基本的には京極堂も言っているように「この世に不思議な事など一つもないのだよ」というオカルト暴き路線ですが、どっちかというと暴いた真相の方が不思議度にターボが掛かっており一体どうしたものかと。さらに言うと、そもそも面白いミステリー映画とは、魅力的な謎の提示があって、魅力的な探偵と被疑者がいて、魅力的なミスディレクションがあって、魅力的な謎解きがある、というものですが、この映画の場合、最初の謎の提示の部分でいきなり筋運びがムニャムニャ、という事態になっており、あとはドミノ倒し式に他の要素も巻き込まれて同じムニャムニャ地獄に、という有様で、魅力的な登場人物や舞台背景が揃っているだけに非常にもったいない。ああもったいない。


あと蛇足が多いですね、謎が大方判ってしまった時点で上映時間があと30分も残っているのはいったいどういう訳かと。京極夏彦水木しげる役で出てくるシーンなんかはバッサリやっちゃっていいから、その分ミステリー部分を丁寧に描いてほしかったのう、と。さもなくば最後の30分は切る、とか。


実相寺監督の続投で、キャストもそのままで、もちっと気配りの行き届いた脚本で続編を観たかったですが、監督の亡くなられた今はそれも叶わず。ならいっそ逆転の発想で三池崇史監督で撮るというのはどうか…いやダメだ。三池だと途中が良くても必ず最後ワケわからなくなるし。では黒沢清は…めちゃくちゃ怖い映画になりそうだ…でもやっぱり最後がワケわからんことに。では市川崑は…いやもう彼は頭上にお迎えが来てるし…では…。とりとめがないので終わります。