カジノロワイヤルの手帖

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薔薇の葬列

薔薇の葬列 [DVD]
監督・松本俊夫主演・ピーター。 60年代末期のATG作品ですね。母を殺して出奔し、いまは東京でゲイボーイとして働くピーター。彼は愛人であるオジサマ(土屋嘉男)とつるんで、勤め先のゲイバーのママを追い落とし、その店の新しいママに収まりますが、愛人のオジサマは実は昔行方不明になっていたピーターの実の父であった。というわけで父の方はショックで自害。ピーターの方は錯乱して自らの目を潰すのであった。という逆オイディプスの悲劇。以上です。


いやお話としてはホントに以上。けどそこはそれATGですので、映画全体にアングラ風味が充填されてます。突如カメラはこの映画の制作現場の外側に出て、監督が出演者にインタビューを始めたり、当時の路上パフォーマンスを延々映したり、当時のアングラ映画制作グループのラリリ放題パーティを映してみたり、いやあこういうのを観てると昔の日本人の若者もけっこうスコタンじゃないですか。ははは。というわけで図らずも当時のアングラ文化を知る記録映画のようになっちゃってるのが興味深い。しかも作っているほうは小難しいことを考えて作っているように見えて実はあんまり中身がないような気が。中身があろうが無かろうが、なんでもかんでも小難しく作り、語り、批評するのが当時の流行りだったのでしょうか。村上龍が女の子にモテたいという理由だけでバリ封やった、という時代ですからねえ。


それはともかくピーターです。いまや美川憲一と並んで本当に性別不明の方になってしまわれましたが、この頃のピーターは化粧をするとたいそう美少年でした。オープニングからしてもう大変なことになっています。はあ〜、これが男の子ねえ。男の子かあ。男の子なのよ。そんな耽美を極めた映像の中、まるで弁当のバランのような巨大な付けまつげが放つ存在感。ちょっとマバタキしたらパフっと風でも吹くんじゃないかと。そんなピーターの媚態もさることながら、時代を二周くらいした結果いま現在オシャレに見えてしまうファッションも含め、トータルとしてピーターの小悪魔感は物凄い物があり、もうこれだけでこの映画は成立していると言ってもOK。それだけに母殺しのシーンで普通の少年だったころのピーターがスッピンで出てきたときのガッカリ感は筆舌に尽くしがたいものがあります。


えー結論。お耽美を愛でるお方にはオススメのピーター鑑賞映画。アングラ文化描写のオマケ付き。ときどきお約束のようにオカマギャグ(女装したまま男子トイレで立って用を足したりとか)も入ってたりするのであんまり退屈せずに観られます。ラスト近くの淀川長治の解説は必見。淀長、やっぱりこういうの好きだったんでしょうねえ…。