カジノロワイヤルの手帖

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ブレイキング・ニュース

ブレイキング・ニュース [DVD]
監督:ジョニー・トー。よく言われてることですけが冒頭の長廻しが凄いな!単なる芝居だけじゃなく最後は派手な銃撃戦になってて、そこも含めて7分間長廻しという「すんません弾着失敗しました!」の一言で恐ろしい額の予算が虚無の彼方に消えるであろう色んな意味で戦慄を呼ぶシーンです。香港映画の根性を見ました。


その銃撃戦の最中に警官が犯人に命乞いをするという失態をバッチリマスコミにスクープされてしまった警察は、威厳回復のために徹底した情報操作を行って戦略的に警察のイメージアップを図りつつ、一方で犯人への包囲網を狭めてゆきます。犯人は犯人で大型マンションに逃げ込んだあとは人質をとって立てこもり、パソコンを使ってマンション内での警察の失態をネットに配信。次第に状況は犯人と警察とのマスコミを利用した情報戦になるのであった…というサスペンス映画。犯人がみずから料理を作って人質となかよく食卓を囲むシーンを配信すると、警察もそれに対抗して超豪華な弁当を全警官に配ってその様子をまたマスコミに流す、という子供のケンカのような情報戦がオカシイのですが、映画はそんなシーンを挟みながらも常時一定のテンションを保ちつつラストまで疾走し続けるのが凄い。中だるみナシ。上映時間は約一時間半。いやあこのタイトな上映時間がよいのです。最近は尺が2時間半とか3時間の映画が平気にありますけれど、よっぽどの事がないとタルいことが多いんですよ。その点この映画は尺を切り詰めると同時にタルいところもそぎ落として、無駄なくバランスの取れた美しい締まり方をしておられます。素晴らしい。観る方としても酔っぱらい切る前に話が終わってくれて非常に助かる。いや個人的事情ですが。


監督のジョニー・トーはやっぱり正義や悪といったシンプルな二元論にはまるで興味が無い模様。警察も犯人側も、ひいては人質にいたっても、誰一人として単純に善悪ではくくれない混沌とした描かれ方で、醒めた視点で一歩引いて登場人物を眺めている感じ。その一方で映画の構成やテンポは完璧にコントロールしています。まるでスタンリー・キューブリックのようです。ただキューブリックと決定的に違うのはアクション娯楽編としてきっちり成立しているところで、恐るべしジョニー・トー