カジノロワイヤルの手帖

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「キッド・ピストルズの冒涜」山口雅也

キッド・ピストルズの冒涜―パンク=マザーグースの事件簿 (創元推理文庫)
こういう時には横になって寝るか読書するかに如くは無し。というわけでこの本を。この世界からいろんなモノがちょっとズレているパラレル英国を舞台に、スコットランド・ヤード所属のパンク刑事、キッド・ピストルズと、相方のピンク・B、そしてこの世界では上級官僚である探偵士のホームズJr.が難事件に挑む!という連作短編。収録の4編ともマザー・グースの童謡を下敷きにするという本格好きする趣向なのでお好きな方にはタマラんでしょう。
4編とも読みましたが、ブラウン神父や亜愛一郎を彷彿とさせる逆説、心理的盲点をついたミスリードなど、本格として読み応えのある内容になってます。惜しいのは肝心の主人公であるキッド・ピストルズが、名探偵過ぎるあまりに事件の解説者ぽくなってしまってて主役としての魅力が薄い事。おまいホントにパンクスなのか。逆にキッドの周りをうろちょろしているピンク・BやホームズJr.の方がキャラ立ってて面白いです。