カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

バットマン・ビギンズ

バットマン ビギンズ [DVD]
巷での評判高い『ダークナイト』の予習として、公開日前夜に地上波でやってたのを鑑賞。バットマン誕生秘話、というのは実はティム・バートンの『バットマン』でも冒頭でちらりと触れられてましたが、そこはそれティム・バートンなのでいかにしてバットマン正義を愛する変人になったかというノリで描いてて、悪役のジョーカーも含めてアクション映画というよりはたいそうブラックなティム・バートン印の映画になってました。公開当時凄いアクション映画を期待して観たらその点が非常にゆるい出来になってて「ええ〜」と思った記憶があります。


で、今作ですが主人公に融通の利かないマジメな男をやらせたら天下一品クリスチャン・ベールをもってきて、彼がいかにしてタダの大富豪から正義の味方になるか、をヒジョーにマジメに描いてます。マジメな男なので刑務所に自ら入って犯罪者の心理を知るとともにケンカにも強くなり、ヒマラヤ奥地の秘密結社に入社してプロの戦闘を叩き込まれ、いろいろあってゴッサムシティに戻ったあと己のトラウマ(コウモリが苦手)を克服するためにコウモリの化身になることを思い立ち、地下のアトリエでバットマンスーツに色を塗ったりバットマン手裏剣を自分で削ったりDIYにいそしみます。ああ、これはまた別な角度からバットマンの変人ぶりを描いた映画なのだなあ。ティム・バートン版(『リターンズ』含む)の場合はブルース・ウェインバットマンの二重生活が自分自身を分裂させている(ことに本人も気付いて悩む)という変人方針でしたが、今回はその逆でいかに自分とバットマンを同一化させるかというパラノイアな方向性。これはこれでまた変人だな。暴走したらヤバいな。と思いながら観てましたが、やっぱり彼をめぐる人たちはそれに気付いているようで幼馴染みのガールフレンドもその点に気付いて引いて行きましたよ。


映画はやはりプリクエルだけあってキャラの立った悪役が出てきませんが、そこはそれ次回作の『ダークナイト』でたっぷりとお楽しみくださいということでしょう。しかしテレビで観るんじゃなかった。CMの挿入がひどいのなんのって。後半は10分に1回CMって没頭できないことこの上ない。やっぱDVDで観とけばよかったなあ…。タイトルバックもエンドロールもカットされてて余韻もヘッタクレもあったもんじゃありませんでしたトホホ。