カジノロワイヤルの手帖

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「これぞ日本の日本人」松尾スズキ

これぞ日本の日本人 (知恵の森文庫)
えー自分の中では松尾スズキは『殺し屋1』で変態暴力双子の二郎と三郎(実は三つ子。一郎はすでに二郎三郎によって殺され済み)をメチャクチャ楽しそうに演じて画面を血まみれの阿鼻叫喚にしていた人なのでそのインパクトのみで「不気味に怖い人」箱の中に分類されていたのですが、このエッセイを読んで「不気味に怖くて面白い」箱に移動。というかエッセイ読む限りでは非常にシャイで文才もありギャグも切れ、という非常に好ましい人物像が出てくるのですが、やはり人間最初が肝心と申しますし、あの映画の変態鬼畜外道がこのステキに面白い本をば…と考えるとよりいっそう恐ろしさが増すのであった。というかこういう先入観のみで著書の感想を書いてしまって松尾スズキには非常に申し訳ない気持ちで一杯です。いやっほんと面白いですよこの本。日常の些事への鋭い考察とそれにギャグをまぶしてゆく文才はたぐいマレなるものが。オススメです。あとできればこの本を読んだうえで『殺し屋1』を鑑賞すると人間ってヤツはほんと判らんのうと複雑な心境になれること請け合い。請け合いますがだからといって何があるわけでもないのであった。完。