えー風邪引いてました。
こういうときは布団にくるまって寝てるに如くは無しなので、ひたすら読書。
クラシック以外の海外ミステリは余り読まないのですが、これは
文藝春秋の
「東西ミステリーベスト100」(←これは自分のミステリあさりの教科書)にランクインしてたので買ってみました。事故死に見せかけた殺人と、その後にとどく「HOG」と名乗る犯人からの犯行声明。果たして犯人の目的は何か?というわけで盛り上がるサスペンス。翻訳物にありがちな文章の読みづらさはあるんですが、これはなかなか面白かったです。途中で犯人とプロットは何となく見えてしまうのですが、最後の一行で明かされる「HOG」の真の意味には
座布団十枚進呈したい切れ味。こういうラストの一行でスパッと謎がとけるミステリはなかなか無いので貴重です。
「歌野晶午はミステリの名手」という自説を検証すべく買ってみた「家」シリーズの2作目。一気に読ませる本でしたが、やはり新人にありがちな筆の荒さみたいなのが感じられて、まだまだ発展途上の雰囲気。探偵である
信濃譲二のキャラも生乾きの印象。舞台となる「白い家」も道具立てもあまり
インパクトなし、という惜しい感じのミステリでしたが、手堅くまとまっていた点は評価したい。手元に「動く家の殺人」もあるのでこっちがどうなっているか楽しみ。
昨年後半は個人的に
杉浦日向子ブームで、著作を片っ端から買いあさっていました。これはその中でもかなり軽妙で気軽に読める一冊ですが、
主人公が余りにとんでもねえ野郎過ぎていっこも共感できないというか、周りにいる人たちが気の毒というか、まあこれだけとんでもない主人公もめずらしい。というわけで表題に偽りなしですが、偽りなし過ぎて
「どうなんですかこれは」と思わず考え込んでしまう一冊。