カジノロワイヤルの手帖

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呪怨 パンデミック

呪怨 パンデミック-ディレクターズカット・スペシャル・エディション- [DVD]
ご存知シリーズのハリウッド版続編。監督:清水崇このシリーズを追いかけて来た者としては見届けておかないと、という義務感半分で観ましたが、手堅くまとまっている反面、このシリーズもそろそろ打ち止めにしといた方が…という思いも去来。カヤコもトシオも単なる怨霊の枠を超えてジェイソンみたいな怪物になって来てるので、これ以上存在がクリーチャー化する前に止めといた方が終わり方としては美しいのでは。と思ったり。以下ネタばれになるのでしばし改行。













さて、今回は前作のハリウッド版制作から漏れたエピソードを拾い、ストーリーの端々に挿入して再構成した「ベストオブ呪怨 vol.2」みたいな内容になっております。清水崇の演出は手堅く、さらに洗練されてきていますが、基本的に『呪怨』ですからシリーズを追って観てると次に何が起きるか大体判っちゃうので怖さ半減。痛し痒しです。今回新しく盛り込まれた要素として、カヤコの出自とソレにまつわる忌まわしい過去が明らかになります。なんとカヤコの母親は巫女であり、悪霊に憑かれた人たちを祓って生計を立てていましたが、祓ったときに出る怨霊のカスを幼いカヤコに呑ませて処理していたという衝撃の事実。幼い頃からそんなモノを食べさせられて育って来たカヤコは毒を食べて毒人間となった忍者のごとく怨霊のカタマリになっていたところへ例の事件が発生。蓄積されていた怨霊パワーがココに来て開花。という考えてみればロクでも無い話となっていました。これはもうカヤコは祓えるのはこの母親だけでは?日本版『エクソシスト』みたいな展開になるのか?ついにカヤコと巫女の直接対決か?と期待が高まりますが、肝心のカヤコ母は秘密を語るだけ語ったあと突然カヤコに殺されてしまうのであった。という呆気ない展開にはなぜに日本の山村で隠者のように暮らしている老婆がいきなり英語で喋れるのかという違和感も吹き飛びます。


結局カヤコは海を越えてシカゴのアパートに増殖。ジェニファー・ビールスを始め住人を次々血祭りに上げなさるのでした。完。…いやちょっと待って!パンデミックって爆発感染のコトじゃなかったっけ?こんなお隣さんから風邪もらいましたみたいなのをパンデミックと呼んでいいのか。という疑問も起こりますが、きっとソレはこれから全米中に広がるのであろう、という怖い想像を我々に植え付けるだけ植え付けて映画はとっとと終わってしまい、突っ込むスキを与えません。


と、ちくちく文句も書きましたが基本的に手堅い作りなので、ちゃんと怖いし、退屈せずに観られる作品でした。でも、やっぱりシリーズはコレで打ち止めにしとく方が良いでしょうね。これ以上やると『ゾンビ』みたいに死人が山のように増えそうですし。清水崇は、そろそろ新しい代表作をモノにするべく頑張って欲しいものです。