カジノロワイヤルの手帖

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オペラ座の怪人

オペラ座の怪人【字幕版】 [VHS]
監督:ダリオ・アルジェント、主演:アーシア・アルジェントオペラ座の怪人』と言っても何年か前に映画化された「ちゃーーーーーちゃららららーーーーーーーー」というチャーチオルガンのイントロで有名なあのミュージカルではありませんよ。イタリアン・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェントと、その娘のアーシアちゃんが監督主演というお好きな方にしかピンと来ない布陣の『オペラ座の怪人です』。実はオイラ小説、舞台、ミュージカル、映画を通じて「オペラ座の怪人」という作品に対峙するのはこれが初めてなのですね。一応ロン・チャニー版の怪人の顔とか、オペラ座の地下に怪人がいるとかのうすぼんやりとした知識はあったのですが、話の筋は知らないも同然。というわけで監督主演の親娘コンビ以外は先入観ゼロで観ましたよ。


感想)これはギャグか?ギャグなのか?


いや元祖『オペラ座』の筋がどうかは全然知らないのですが、歌姫アーシアちゃん&オペラ座の怪人&イケメン伯爵の三角関係を軸にお話は展開。怪人の方(これがマスクも特殊メイクも何も無いイケメン)が地下にヒッコリ迷い込んだ一般の方々をかじっては殺し投げつけては殺して怪人っぷりを発揮する一方、アーシアちゃんに一目惚れだかなんだかしてこれを拉致。地下のアジトに押し込めていてこまします。怪人の方がパツキンの長髪で鼻も付け鼻のように高いイケメンだったのでアーシアちゃんもついよろめき「うう〜んステキ」などと感極まっておりましたが、ふとしたことから怪人の方がドブネズミをパンツの中に入れてコーコツとしたりする変態ネズミフェチであることを目撃。イーヤー!フケツー!とばかりにトンズラして前から言い寄って来てたイケメン伯爵の腕の中へ。「私を離さないでね」と父ちゃん譲りのヘビ顔でイケメンをメロメロにしますが、黙ってないのが怪人の方。上演中のアーシアちゃんを拉致してまたも自分のねぐらに引っ張り込もうとしますが、上演中だけに警備員の方々が追ってきますし、イケメン伯爵も「離さないでね」と言われた以上は男のメンツが廃るとばかりにライフル片手に怪人の方を追います。ついにイケメン対怪人の場面!イケメンは満を持してライフルを発射!倒れる怪人!「ああっ!」怪人のほうに寄りすがるアーシアちゃん!ちょ待て!おまえどっちの味方やねん!と紛糾する観客の感情を無視して映画は進行。怪人は追いつめられて遂に警察の銃弾に倒れますが、それを遠くから目の当たりにして「あなたー!」悲痛な叫びを挙げるアーシアちゃん!すぐそばにはイケメン伯爵!伯爵の立場いっこもナシ!というカオスのまま映画は終了。「オペラ座の怪人」ってこういうトンチキなメロドラマなのか?と誤解を与える表現が多いのではという疑念を拭いきれない映画でした。


その話の腑に落ちなさをよそに、残虐描写においてはアルジェント節がコブシを回して唸っておりエログロ度はパッパラーです。胴体チョン切り、全身串刺し、ベロ噛みちぎり、首チョンパなどなど今日も絶好調。あと余り本筋に関係ないところでネズミ駆除に命をかける男が登場、自前のネズミ捕獲マシーンに載って地下道を爆走したあげく岩にぶつかって大ケガ、という挿話はティム・バートンの映画かヤッターマンでも観ているかのようなトボケ加減で完全にギャグですが、岩にぶつかったあと相棒は首がもげて死ぬというくだりは一体ギャグなのかマジなのか判断に苦しみます。


アーシアちゃんは親父の無茶な演出に耐えて耐えてオペラもこなせば濡れ場もこなし熱演で主演の風格たっぷりですが、個人的になんとなく引いてしまうのはご尊顔がお父上にそっくりであるところが原因でしょうか。あとオペラ座のセットは絢爛たるもので、時代がかっててなかなか良かったですね。このへんはさすが本場の味。音楽もなんとエンニオ・モリコーネでなかなか良かったです。ところでダリオ・アルジェントは最新作にしてシリーズ完結編の『サスペリア・テルザ』が公開を控えており、先のゆうばり映画祭でも上映されましたが、ファンとしては是非フォローしたいところ。が、札幌で上映してくれる映画館があるかどうかが心配です。こういう映画には理解の深い孤高の劇場・札幌スガイディノスあたりがやってくれないかなー、と淡い期待を寄せております。おわり。