カジノロワイヤルの手帖

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ターミネーター4

ターミネーター4 コレクターズ・エディション [DVD]
監督:マックG。あのみんな大好き希代のバカッコイイお姉ちゃんズ映画「チャーリーズ・エンジェル」の監督(しかもそれしか撮ってない)がなぜこのシリーズに?大丈夫なのか?と観る前からファンを不安地獄に叩き込みましたが結論:おおむね大丈夫でした。そして主演:クリスチャン・ベールasジョン・コナー、と見せかけて実質的な主役はサム・ワーシントンasマーカス・ライトでした。まああまり詳しく喋るとネタばれてしまうのですが、予告編でバラされちゃってるのでもういいや。というか本編観た後で思いましたがあの予告編はないだろう。あれは劇中のマーカス・ライトとともに観客もガビーンとなるべきシーンだったんじゃないの。それをまあしれっと流しおって。あの予告(もう劇場でバンバンかかってましたからね…何度観た事か)をもし観てなかったら、あの「Noooooooooo!」のシーンはマーカスと一緒に観客もガビーン!となるシーンではなかったか。それに映画としても明らかにそれを狙って作ってあります。冒頭から例のシーンまで、伏線はちりばめてありますがやはり伏線は伏線で、そのものズバリネタは割ってなかったはず。となるとあの予告編は…怪しからん。じつに怪しからん。お前ら全員華厳の滝に打たれてこい!プンスカ。


まあそのような不満は観終わって今この文章を書いているときに気がついたのですが、観てる最中は実に面白く観たであります。「審判の日」以後のスカイネット天国が舞台なので、ターミネーターちゃんも一体二体とは言わず数で勝負!バリエで勝負!とメカ好きにはたまらない大ロボットまんがまつりになっており、燃えます。人間捕獲用の巨大ターミネーターの両脚から追跡用のバイク型ターミネーターが出てくるなど、芸コマ。こいつらがもう人間発見!と見るや殺す死なす捕まえて牢獄に送るという非常にシンプルな行動原理で動いており、とにかくひたすら抹殺(ターミネート)スル。ロボットダカラ。マシンダカラ。ダダッダー。と手当たり次第にマシンガンやレーザー砲を景気良くぶっぱなしてきますから劇中の人間は悲惨ですが、観てる方は何故か燃え燃えになってしまいますから不穏当です。


このような荒廃し切った世界でして、シリーズは完全に近未来戦争映画のフェーズに突入した模様。銀残しもかくやと思わせる彩度の低い色彩設計に、荒れた画面。プライベート・ライアンメソッドは今や完全にスタンダードな戦争映画の描写法として、ついに『ターミネーター』までも飲み込んでしまったようです。ただし映画のレーティングを下げるためか、人体損壊のグロな場面はほとんど出てきませんが、まあ代わりに機械損壊のシーンはてんこ盛りです。


さてシリーズのこれまでの話の性格上、スカイネットが次にどういう手を打ってくるか、人間側が対抗策としてどういう手を打たなくてはならないか、という点が明らかになっており、今回はターミネーターがあの人物を狙い、それをジョン・コナーが保護するのが主なミッションとして描かれます。となると次はスカイネット側がタイムマシンを開発してシュワちゃんを1984年に送り込み、ジョン・コナーも対抗すべくあの男を過去に送り込む、あたりが次回作で描かれるんじゃないかと。そしてスカイネットがあのT-1000を開発して1993年に送り込み、人間側はT-800を改造してやはり過去に送りこむのではないかと。というのがこれまでのシリーズ上の必然として出てくるはずでして、次回作ではそのあたりの丁々発止を描いたものになるはず。そして次々回作ではスカイネットが女ターミネーター(今考えた通称:タミちゃん)を開発するあたりまでに人間側とスカイネット側の最終決戦を描いたのものになるはず…。かなり高い確率でそうなるはず。しかしそれを「いやもうそれは規定の事実だから」という理由で話から外してきたらそれはそれで凄いと思った。


今回の話ですが、そういう過去のストーリーの畳み込みも行いながら、マーカス・ライトという謎の男を実質的な主人公に仕立てる事で、畳み込みそのものをうまくぼかしつつストーリーに折り込み、なおかつ(これはもう書いちゃってもいいでしょう)人間と機械との違いとは何か、を身をもって描かせることに成功…してるのかな。一応は。しかしマーカスの人間味に最後は男泣きストームが吹き荒れるのかと思いましたがそうでもなかったのが惜しい。やっぱりこれ、予告編でネタを割らない方が良かったんじゃないか。関係者は全員ナイアガラの滝から樽詰めになって落ちて来て欲しいと思います。


とまあ細かい文句も言いたくなりますが、基本は手堅く渋く作られた娯楽作なので「週末は家族で夫婦でカップルで映画でも」という方にはおススメの一本。マックGは実は職人監督だったんだなあ、と感嘆。あとどうでもいいですがヘレナ・ボナム・カーターが出てて音楽がダニー・エルフマンだったのでどこかでティム・バートンが噛んでるのか?と思いましたがそんなことはありませんでした先生。あと、意外でしたがマイケル・アイアンサイドがいぶし銀の風格で出演しており、アイアンサイド燃えの皆様方は必見かと。


しかし『ターミネーター3』を観たときも同じ事を書きましたが『2』の映画としての完成度は鬼のように高かったんだなあ…と思う事しきり。壮絶なアクション、ストーリーの意外性、映画史に残る敵役、エモーショナルな盛り上げと最後の男泣き。これだけの要素が一本の映画に詰め込んであるからビックリですわ。まあ今回でシリーズは新しいフェーズに突入しましたので、心機一転、頑張って欲しいと思いました。終わり。