カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

エレクション

エレクション~黒社会~ [DVD]
監督:ジョニー・トー原題が「黒社会」というそのまんまな香港マフィア映画。これ、日本で言ったら「やくざ」「暴力団」みたいなニュアンスなんだろうか。いや「裏社会」の方がニュアンス近いかな。まあそれはともかく原題が「黒社会」でありながら英題は『エレクション』な訳です。「エレクチオン」だと小池一夫先生になってしまいますがこっちは『エレクション』。まあ「選挙」ですね。ある香港マフィアの組織は次期会長を決めるべく、若手候補の中から二人を選び出し選挙にかけます。一方は思慮深く頼れそうなタイプ。もう一方は血気は盛んだけど狂犬のようなタイプ。当然選挙では頼れそうなタイプが選ばれるのですが、収まらないのが狂犬の方。「あーれだけカネ(賄賂)をくれてやったのにどーいうこった!ゴルァ!」と反逆の狼煙をもくもくさせます。一触即発の気配。そして話は会長の座を象徴する「竜頭棍」の奪い合いに移り…という、書いてみると非常に判りやすい話です。


しかし…観ていると先がどうなるか全然判りません。読めねえ。ジョニー・トーはやっぱ読めねえ。特に後半から結末の展開に至っては戦慄のひとこと。黒沢清の映画かと思いました。やっぱりこの監督、善悪とか勧善懲悪とか、そういう判りやすいドラマの色づけには全く興味がないんだなあ。条理不条理すら全然気にしていないような気がする。そういうものを全く意に介していないからか、暴力描写の容赦のなさは凄まじいものがあります。この立ち位置は不気味かつオリジナルなものです。こりゃ『エグザイル』も必見だあ!


追記:
この狂犬役はレオン・カーファイだったのか…。『愛人/ラマン』のイメージしかなかったので、今回のキレキレっぷりには驚きました。眼に狂気が宿ってます。『野獣死すべし』の松田優作を彷彿とさせる眼です。怪演。