カジノロワイヤルの手帖

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キング・コング

キング・コング 通常版 [DVD]
監督:ピーター・ジャクソン。主演:キング・コング(これ重要)。助演:ナオミ・ワッツジャック・ブラックエイドリアン・ブロディ一体何度目の映画化だ!3度目か。76年のジョン・ギラーミン版は幼少のころ観た記憶がないでもないですが、記憶がうすぼんやりしております。で、2005年に『ロード・オブ・ザ・リング』三部作を堂々完結させたピージャクが満を持してキング・コングのリメイクにチャレンジ!というのでさぞや凄いことになっているのだろうなあと思惟されたのですが、個人的にウルトラ怪獣の造形の異形っぷりをこよなく愛する自分としてはキング・コング=ただのでかい猿という認識で、ちょっと惹かれるものが少なかったので劇場公開時はスルー。このたび正月休みのヒマにあかせて鑑賞したので感想です。多少ネタばれているので注意。


感想1) なっがい。
いやもの凄く丁寧に色々描いているのはとても良いんですが、上映時間が3時間超ってどうよ。途中で休憩いれないと膀胱がハレツしますよ。もしくは前後編の二部作にしても良かったよな。謎の島に行って色々あってコングが捕えられるまでが前編。コングがニューヨークで晒し者にされ逃げ出して暴れまくるのが後編。とやっておけばホラ構成がスッキリ!というようにできなかったのはオトナの事情でしょうか。前半のいろいろ丁寧な描写に比べ、後半、コングを捕えてからは色々バッサリやっているため、まるで突如打ち切りが決まったジャンプの連載漫画のような話の畳み込み方なので悲しみ横町オヤジの泣き言の如しです。でもねえ、前半でいろいろ丁寧に人間模様を描いていたのに、後半その辺のオトシマエを端折っているのは、それはないよなーと思った。やっぱりこの映画は前後編にした方が…もしかしたらピージャクはそのつもりでいたのにビジネスの事情でこうなったんじゃないか、といらん妄想がフラッシュします。そうでなくても冗長な描写が多い傾向にあるので油断すると睡魔が…。


感想2) それはそれとして、ようでけとる。
まあ尺と構成の件はこの映画最大の弱点と思いますが、その反面ディティールは強力。特筆すべきはコングの表情の豊かさ!実質の主演男優がキング・コングなのはコングのこの見事な演技あってこそ。喜怒哀楽をその目で強力に表現し、観客は思わずコング頑張れコング負けるなと街頭プロレス実況のように感情移入すること請け合いです。そして惚れてしまったナオミ・ワッツへの純情。彼女のためなら怪我をもいとわず体を張る男気。このコングの男らしさには全世界の男が背中で泣いてしまう。もう終盤はコングの顔が猿ではなく人間に見えてきます。それくらい見事。


感想3) で、ガンダルフはいつ出てくるの?
映像のタッチは全編人工的な風合いで、序盤と終盤のニューヨークにおいてすら書き割りみたいな感じですから、中盤の魔の島に至ってはもしかしてここ中つ国ですかという勢い。いつアラゴルンとかガンダルフとか出てくるのという感じで、まあこれは『ロード・オブ…』の成功があってこその印象ですので痛し痒しです。


感想4) 怪獣映画でした。
その魔の島に出てくるのはコングだけではなくて、土人の皆様、各種恐竜の皆様、大きさが規格外の昆虫の皆様、腐海に出てきそうな節足動物の皆様、決してお近づきになりたくない大きさのゴカイの皆様などが大挙して人間を襲ってくるため、まるで多々良島に上陸した科学特捜隊のように皆さん命がけです。とくに昆虫その他節足動物の皆様がワラワラワラワラとわいてきて人を襲うあたりの描写の気持ち悪さは一級品。便所コオロギとかゴキブリとかでキャーと言ってる我々からすればまさに地獄。肌に粟吹く恐ろしさです。さらには恐竜の皆様もお出になられるわけですが、いろいろあってコング対ティラノサウルス3匹南海の決戦という状況になり、ここのアクションシーンは燃えます。正直このシーンが最も熱い。これは大画面で観たかったなあ。


感想5) まとめ。
まあ構成と尺に大きな問題を抱えているとはいえ、ディティールは精緻に作り込まれ、巨大生物同士の壮絶なバトルあり。キモい怪物の襲撃あり。怪物に破壊される大都会の描写あり。そしてなによりコングとナオミ・ワッツの報われないラブストーリーとしての側面あり。と充実の内容です。それだけに、サイドストーリーの終盤での回収放棄が惜しまれます。DVDでスペシャル・エクステンデッド・エディションとか出てないのかな。ノーカットの完全版を前後編の形(これ重要)で観たい映画であります。