カジノロワイヤルの手帖

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カサンドラ・クロス

カサンドラ・クロス [DVD]
監督:ジョルジ・パン・コスマトス、主演:リチャード・ハリスソフィア・ローレンジュネーブでテロリストがWHOの建物に侵入。これを爆破しようとしますが見つかって銃撃戦のあげく気まずそうな黄色い液体をかぶって脱走します。それが実はタチの悪い細菌兵器で、逃げたテロリストは見るからに悪い顔色をぶら下げてこともあろうにヨーロッパ縦断列車に乗り込むのであった…。1000人の乗客の運命やいかに。というお話。


まずキャストが凄い。一種のグランド・ホテル映画なので、脇役に至るまでも有名な名前が名を連ねています。こういうオールスター映画って最近はホント無くなりましたよねえ。リチャード・ハリスダンブルドア校長)、ソフィア・ローレン(若いな)、バート・ランカスターエヴァ・ガードナーマーティン・シーン(これも若いな)、O.J.シンプソン(わああ)、アリダ・ヴァリ(どこに出てるかサッパリ判らなかった)、などなど、そうそうたる顔ぶれ。制作費の半分は出演者のギャラに消えたのではとつい心配になります。ごいすー。なお出演者たちにイタリア人が多いのはこの映画がイタリア/イギリスの合作映画だからです。たぶん。


コペンハーゲンに向けて走り出した列車のなかでくだんのテロリスト君はよせばいいのに列車内をあちこちペッタペッタ触りながら徘徊。あまつさえキッチンに入り込んで食材の上でゲッヘンゲッヘンやるもんですから車内はあっという間に具合の悪い人だらけになります。いっぽうテロリストがこの列車に侵入したことを把握したアメリカ陸軍は「これいろんな意味で外に漏れるとヤバいよね」という訳で列車の行き先をこっそり変更。ポーランドに向けて列車は進みますが、その途中には閉鎖されて30年、以後放置プレイのオンボロ大鉄橋「カサンドラクロッシング」が待ち構えているのでした。その事を知った列車の乗客は軍の真意を見抜きます。「そんな危ないとこを通すんかい!っていうかそこでわしらを事故に見せかけて消す気やろ!」とブチきれた乗客達は一斉蜂起して列車を止めるべく行動を開始し随行する軍隊の方とドンパチをやらかしてこれを射殺しまくるのでした。


ええ、みなまで言わなくてもオッケーです。これはもうツッコミどころが満載というか、むしろこれはツッコンで欲しいのか?欲しいんだろう?ああん?と言わざるを得ないサンドバッグのような映画です。このへんのおおらかさ、というか脇の甘さはまさにイタリア映画。劇場の各座席に「ツッコミボタン」を設置して押すとスクリーン上方に赤ランプが点灯するようにした場合、最初から最後までランプがつきっぱなしになるのはほぼ間違いないと思われます。わはは。


まあそのへんの大雑把さに目をつぶれば、結構面白い映画です。つぶらなければ別の意味で面白いです。走る列車という限定空間、迫り来る鉄橋の恐怖、防護服に身を包んだ軍隊の不気味さ、などなど燃える要素は満載。リチャード・ハリスもこの頃はアクション・スターだったんですねえ。ハゲに長髪という髪型には正直疑問を禁じ得ませんが。


たしか公開後しばらくは「大味な駄作」という評価が一般的だったため、近年になっても顧みられることのほとんどない映画ですが、出演者のやたらな豪華さ、アウトブレイクというテーマの先見性、鉄道という限定空間でのサスペンスという点で、再評価されて欲しい映画です。特に、こういうオールスターパニック映画が作られなくなって久しい昨今、70年代大作映画主義の徒花として記憶しておきたい作品。オイラは好きですよこの映画。