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カジノロワイヤルの手帖

banのスットコドッコイ映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

なぜか怖くない『ソウ』

映画

ソウ 【廉価版1,890円】 [DVD]
監督:ジェームズ・ワン男が目覚めると、部屋の真ん中には死体。向こう側には鎖につながれたもう一人の男。自分の足も鎖でつながれている。なんで自分はここにいるのか。向こう側の男は誰か。自分をここに閉じ込めたのは誰か…。というシチュエーションを思いついて、それにメイントリックを投入し、そこから話を演繹させたっぽいアイディア一発映画。の割には続編がポコポコ作られ最新作に至っては流行を取り入れて3Dになってしまっているという「オマエまで飛び出す事はないだろ」映画の決定版になっちゃってます。ここ最近ジェイソン君とかフレディ君に匹敵するアイコンがいなかったホラー映画界においては久しぶりの有名キャラとなったジグソウちゃんの登場となる第一作がこれです。ジグソウちゃんは頭脳の難病のために「ムキャー健康に感謝しないヤツってムッカつくううう」と病んだアタマをさらに病まれた結果、健康ピーポーを監禁してはアチラを立てればこちらが立たぬ葛藤状況に叩き込み、狂い回るさまをこっそり眺めてはゴッド気取りでイイ気になるという2000年代ならではのサイコちゃんでした。このジグソウちゃんが毎回あの手この手で凝りまくった葛藤状況(助かるには自分の足を切り落とすしかない等)をセッティングして中で被害者がギャワーギャワームヒーと阿鼻叫喚の事態に陥るというデストラップの匠っぷりがシリーズのウリと思われますが、オイラまだ2作目以降を見てないので書いていることはテキトーです。


感想:
こりゃホラーじゃなくてミステリーだなあ。


一切が不明な状態から、徐々に明らかになってゆく事件の真相。入り乱れ込み入る事情。意外な展開。ドンデン返し。まるで叙述トリックを駆使しまくる最近の日本のミステリーを読んでいるようで、こういうゲーム性の高いホラー映画というのはたしかにあまり無かったかもしれない。雰囲気はゴスゴスで音楽もデスメタル系というありがちさながら、物語はトリッキーで先の読めなさが観客をグイグイ引っぱります。まるでヤンキーなのにテストの点は妙に良いという意外性です。


しかしながらホラー映画としてはこれが全く怖くないのでオドロキでした。なんでだろうと思いましたが、これ映画そのものが特に怖がらせようとしてないのではないか。どっちかと言うとストーリーのツイストをきちんと語るために、尋常のホラー映画で踏まれるような手続き(例えば、粘っこい演出でくるぞくるぞと恐怖を煽っておいてドン!と怖がらせたり、グロ描写で生理的嫌悪感をことさら強調したり、など)に拘泥していないように思えます。題名にもなっているノコギリが使われる場面など、通常なら絶対怖いハズなのに、他の映画の類似シーン(例えば『オーディション』のそれなど)に比べると驚くほど怖くないです。これは狙ってそうなっているのか天然なのか判りませんが、恐怖よりもゲーム性を優先させた結果こうなっているのではないか、と推測します。


以下微妙にネタバレ。要注意。








ラストのドンデンについては、観ている時は驚きましたけど、今考えるとジグソウちゃんがあそこにいたということに必然性が無いような気がしており、なんだか振り込め詐欺に遭ったような騙され感が漂ってきてこの映画の評価そのものが暴落しそうな気配です。とはいえ最後にエエッと言わされたのも確か。シリーズが7作目を数える今、ジグソウちゃんは今もデストラップの匠としてコツコツと監禁ゲームを続けているのでしょうか。それともジェイソン並みのエクストリームな進化を遂げて殺しても殺しても死なないホラー・アイコンになったあげく頭脳の病気も快癒したのでしょうか。どっちもありそうですが、確かめる気は今のところ皆無です。