カジノロワイヤルの手帖

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ネタバレ厳禁『エンゼル・ハート』

エンゼル・ハート [DVD]
監督:アラン・パーカー。出演:ミッキー・ロークロバート・デ・ニーロ。1950年代のニューヨーク。しがない探偵稼業のミッキー・ロークに舞い込んだ一件の仕事。依頼人は長髪にヒゲにステッキと見るからに怪しすぎる風体ロバート・デ・ニーロ。「ある人を探してるんだが、頼めるかね」「は、なんとかやってみましょう」というわけで訪ね人のジョニーをあちこちで捜し回ることになったミッキーですが、行く先々で関係者が景気良く死にます。「ちょ、この仕事ヤバいんじゃないですか」「まあそう言わんと頼むよ。追加料金払うし」と依頼人のデ・ニーロはあくまで冷静。事件の陰に見え隠れする悪魔崇拝の影。そして事件は意外な真相にたどりつき…。


これ以上はネタバレになるので伏せますが、正直に申しますとオイラこの映画のネタを割った状態で見てしまいまして、映画を観る事自体がその確認だったという失礼千万な状態アラン・パーカーちゃんマジすまん。この映画、よくある私立探偵が主人公のハードボイルドと見せかけつつ実はオカルトもので、その一見ミスマッチな取り合わせが面白く、凝った画作りやところどころにインサートされる不気味なイメージ描写も相まって映画全体が静かな不気味さに包まれています。重要なのは後半の舞台となるニューオリンズという土地で、アメリカ南部が抱える土俗的な雰囲気が不気味さを更に盛り上げます。日本でもそうですが、閉鎖的なド田舎が抱えるダークサイドというものには底なしの恐ろしさがあり、ここでは都会のルールも道徳も、果ては法律すら通用せず、そこに放り込まれた余所者の安全は保証できないぜという恐怖があります。この映画はそこに悪魔崇拝というシチュエーションを盛りこんで「こいつら裏でなにやってっかわからねえ」と薄気味悪さを漂わせます。にもかかわらずそんな中に何も考えていなさそうなミッキー・ロークが「ちーす」とアメリカンな明るさで突入してゆくのでハラハラは二割増しです。


しかしネタを割った状態で見ると先の展開というものに対するワクテカが半減してしまって、どうしても「筋の確認」「オチの確認」みたくなってしまうのが鑑賞の前提としてはマイナスもいいとこ。正直アラン・パーカーにグーで殴られても文句は言えない感じです。これ予備知識なしで見たらもっと面白かっただろうなあ。すまん、アラちゃん。


ところで冒頭で死んでたオッサンは一体誰だったのでしょうか?


余談。平山夢明の短編「卵男」において、シリアルキラーが逮捕される直前にゆで卵を食べる描写があるのですが、それの元ネタがどうやらこの映画っぽい。劇中、デ・ニーロが「ある宗教においては、卵を魂の象徴とすることもある」と言いながらゆで卵を剥いて食べるシーン。それが細部にいたるまでソックリでニヤリ。その他、この映画のエピファニーという登場人物の名前も平山の「メルキオールの惨劇」という長編に引用されており、ナニゲに平山ファンは必見でした。


独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

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メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)

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