カジノロワイヤルの手帖

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かっこいい1960年代『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』

X-Men: First Class
監督:マシュー・ヴォーン。出演:ジェームズ・マカヴォイマイケル・ファスベンダーケヴィン・ベーコン。おなじみX-MENの誕生秘話に、プロフェッサーXとマグニートーの確執をからめ、それをギンギンに研ぎ澄まされた「カッコイイ1960年代」という舞台に乗せて送る傑作です。なんといっても60年代のスパイ映画を意識した映画全体の意匠が素晴らしく、60年代ってこんなにカッコ良かったんだ!と思わず目を見張るディティール。ファッションといい、インテリアといい、メカといい、現代のセンスで60年代を洗練させたらこうなった、という素晴らしいお手本かと。初期007もかくやの「豪華な応接間の奥にメカメカしい秘密基地」とか「敵の親玉のデスクの背後に電球付きの世界地図」とか「黒のとっくりセーター」とか、懐かしいにも関わらず洒落ていてかっこ良い。この「60年代スパイ映画の世界観でX-MENを語る」というコンセプトにまずしびれます。


役者も総じてナイスで、若い頃のプロフェッサーXことチャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)、マグニートーことエリック・レーンシャー(マイケル・ファスベンダー)がいずれも良く、特に冷酷なエージェント然とした風貌のファスベンダーがよろしい。前半、ドイツ語、フランス語、英語、スペイン語を流暢に操りながら、世界を股にかけて敵を追い詰めていく様はまったくスパイ映画の主人公の如し。ナイスです。他、若い頃はこんなに可愛らしかったのねと意外なところをみせるミスティーク役のジェニファー・ローレンスもよろしい。最初は「こんな童顔のミスティークってアリ?」と思いましたが、見ればストーリー上の必然性があってこの人が演じているんだなあと納得。それからケヴィン・ベーコン悪の首領ですがこういうゲッスい悪役を演じている彼は本当に輝いてるなあ。この人のお陰でワルもんの憎々しさが半端無く跳ね上がっています。また終盤にたっぷりさらされる彼のアホ面もちょうラブリーです。


オイラは原作を読んでいないので、原作観点からどうなのかはわかりませんが、丁寧につくってあってX-MENに対する愛情を感じましたですね。最たるものは、途中でチラッとだけ登場するあのお方!わお!このキャラ、この役者をキチンと出してきているので見ている方はたいそう嬉しくなります。こりゃ続編にも期待がもてるなあ…。今回はキューバ危機を背景にした60年代を描く映画でしたが、続編は70年代、80年代の世相をX-MEN視点で描く映画になりそうで、その面でも期待したい。いやあX-MENの映画でこんなにワクワクしたのは初めてかも知れません。ファンの方は必見の一本です。