カジノロワイヤルの手帖

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「荒木飛呂彦の奇妙な映画ホラー映画論」荒木飛呂彦


オイラは本の帯はとっとと捨ててしまう派です。読むときじゃまだし。しかしこの本に限っては帯、捨てがたいな…。というかこの帯がなければ書店では他の本に埋もれて視認できず買い逃していたかも知れぬ。帯のイラストで「ゴゴゴゴゴゴ」と音を発しているのは荒木飛呂彦自身?岸辺露伴?それともこの本の中でいちばん怖い存在だと言い切っている悪魔?わかりませんがその全部のような気がします。中身ですがタイトルで「奇妙な」とうたっておられるのとは逆に、ツボを抑えた非常に良心的なホラー映画ガイドになってます。メジャーな作品からマイナーな作品までバランスよく取り上げており、ホラー映画とは何たるかという点も丁寧に論じているので、初心者にもオススメ。かといって平凡な内容ではなく、荒木飛呂彦という人が切ったホラー映画の切り口というものをしっかり見せてくれます。『プレシャス』をホラー映画として評価したり、『変態村』までチェックしているあたりはたしかに「奇妙」ですわ。ホラー映画が自作の漫画にどのような影響を与えているかにも言及しているので、荒木作品のファンにとっても絶好のサブテキストかと。岸辺露伴のキャラに影響を与えたという『ナインスゲート』とか、つい観たくなってしまう。『スペル』とか『ディセント』とか、2000年代以降の映画を取り上げているのもナイス。ちゃんと研究してはるなあ。


荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

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プレシャス [DVD]

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ナインスゲート デラックス版 [DVD]

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スペル コレクターズ・エディション [DVD]

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ディセント [DVD]

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