カジノロワイヤルの手帖

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腑に落ちない『ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ』

ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ [Blu-ray]
監督:ジョン・ボルソン。出演:ロバート・デ・ニーロダコタ・ファニング。ニューヨークに住む仲睦まじい一家。今日も優しい母ちゃんは愛娘(ダコタ・ファニング)をかくれんぼゴッコで優しく寝かしつけます。しかし父ちゃん(ロバート・デ・ニーロ)と母ちゃんの仲はなんだか穏やかじゃないのうと思ってたら次のシーンで母ちゃんは手首切ってバスタブでプッカプカしているので驚きです。母ちゃんの亡骸をバスタブから抱え上げる父ちゃんですがその様子を娘にバッチリ見られてしまい、娘はショックの余りナイーブなハートがブレイクしてセルフのシェルにロックインというか、まあ平たく言うとお心をお閉ざしになられます。心理学者でもある父ちゃんは娘の明るさを取り戻そうと郊外の一軒家に転地しますが、そこに引っ越してから娘の様子がますますおかしなことに。どうやら娘は「チャーリー」という空想の友人を作り上げ、それと一緒に日夜遊んでおられるご様子。父ちゃんは持ち前の心理学の知識でフフンこういうこともあるでしょうと冷静なフリしてしたり顔ですが娘の様子は一向に好転せず、むしろチャーリーが表れてからは偏屈の度合いが輪をかけてドイヒーです。さすがに冷静を装っていた父ちゃんもうろたえ始めます。さらに、どうやらチャーリーは空想の域を超えて実在しているようなフシがあり、チャーリーの行動は次第に父娘の生活を脅かし始めます。さて、チャーリーとは一体何者なのか…?というお話。


実はチャーリーの正体とは◯◯◯◯な訳ですが、正直にいうと、ちょっとビックリしました。いや決して上手いとは思わないし、一緒に観ていた妻は「…このオチ、まさかそれはないよな…と思ってたらホントにそうだったんでビックリした」と言ったぐらいにして、ある意味「予定調和的ドンデン返し」なのですが、いやーすっかり油断してました。ミステリ読みとしては不覚を取ったと言わざるを得ません。


まあそんな訳で個人的にはまんまと騙されてしまった訳ですが、しかしこのドンデン返しは今ひとつです。どうにもエレガントでない。大ドンデン返しがうまく決まる映画とは、えてして伏線の回収が巧妙だったり、あるいは再度鑑賞してオチにつながる伏線を発見できたりと、オチが決まった後に全てが腑に落ちる快感を兼ね備えているものが多いのですが、この映画はそこが弱い。オチが判明しても何も腑に落ちないというか、むしろオチに繋がらないミスリードばかり目立ち、「あの〇〇は結局なんだったの」と考えた結果、それが脚本上のミスリードのためだけに出てきたのだ、ということに気づいて何だか騙された気分になります(ダメな意味で)。


映画の前半は、ひたすら心を閉ざしっぱなしのダコタちゃんと、いまいち良い父親になりきれないデ・ニーロとの気詰まりな親子関係が延々展開され、冷え切った親子関係に付き合わされて観客の気まずいメーターは常時ハイレベルをマーク。なまじダコタちゃんの演技が上手いだけにこの娘の心の閉ざしっぷりは半端無い感じで可愛くないことおびただしく、かといってデ・ニーロの父ちゃんは本気で娘のことを考えているのかどうかイマイチ良くわからない振る舞いで娘の事は何一つ理解出来ないでいるご様子。心理学者のくせに。この噛み合ってない親子のギスギスが延々続くので何かの精神修養のようですが、それを耐えて耐えて耐えぬいてたどり着いた結末があの微妙さですからなんともモヤモヤが止まりません。まあこのギスギスがある意味非常に怖い(将来我が子との関係がこんな風になっちゃったらどうしようとか)のでホラー映画としてはある意味面目を保ったと言えなくもないというか、言えません。


ダコタちゃんとデ・ニーロが出てなければ、日本での劇場公開はなかったんだろうな…というどうでもいい思いが去来する映画ですね。なお、かつてのデ・ニーロの教え子役としてファムケ・ヤンセンが出ておられます。ファムケファンは要チェック。ファムケファンでない場合はスルーでも可。以上、よろしくお願い致します。