カジノロワイヤルの手帖

banのスットコドッコイ映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

パネェ『トム・ヤム・クン!』

トム・ヤム・クン! プレミアム・エディション [DVD]
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ。主演:トニー・ジャー。タイの山奥の純朴ヤングであるトニー・ジャーは、今日も愛する象たちとともに日々の暮らしを営んでおられましたが、水かけ祭の日に街へ出てきたところ、悪者が大事な象の親子をさらってゲッタウェイオオオオラの象を返せ!その一念でトニーくんは追跡を開始。得意のムエタイ技を立ちはだかる悪者にぶちかますも、肝心の象がいつのまにか密輸されていたことが判明。それを追って彼は単身オーストラリアに乗り込みますが、そこには暗黒すぎる社会が待ち構えており…。というお話。


マッハ!!!!!』でタイ映画の凄さを日本に知らしめたプラッチャヤー・ピンゲーオトニー・ジャーのコンビですが、今回はそれに輪をかけて凄い。『マッハ!!!!!』の際に見られた、アクション好きが集まって好きな映画を再現しているような自主制作感は薄れ、アクション映画としてさらに完成度の高いものを作ろうとしている気迫が感じられます。トニー・ジャーの高い身体能力は前作で証明済みなので、今度はそれをどう見せればもっと凄いものになるのか?という点を追求した結果、我々の想像の斜め上をノーワイヤーで爆走するアクションになってしまいました。特に凄まじいのは中盤。螺旋状の通路を登りながら立ちふさがる敵を次々倒してゆくシーン。これをなんと数分に渡るノーカットの長回しで撮っております。いやこのアクション構築能力はただ事ではない。身体能力に加えて、一つ一つの殺陣をシャープに見せる技術、それらを一つの流れとして繋げてゆく構成力、それを一連のアクションとして破綻もNGもなく繰り広げてゆく綱渡りのような集中力。それらが見事に結実した名シーン中の名シーンです。これはもう世界アクション映画史に燦然と輝いてしまって差し支えないレベル。このシーンのためだけでも観る価値アリです。


その他のシーンも凄まじく、50人近い敵を次々と関節技で倒したり(手とかどう考えても折れてるようにしか見えない)、高層ビルの屋上からヘリコプターに向かって飛び膝蹴りをかましたりと、命がいくつあっても足りない感じのシーンが連発で、絶え間ない「うそだろ…」感が味わえます。まあストーリーに関してはアクションの邪魔にならない感じというか、余り多くを求めてはいけない感じということで大目に見ていただきたいですが、それでもタイという国を搾取する先進国への怒りが各所に垣間見えたり、平和を愛するけどそれを侵すものとは戦う、というタイ人の心意気が描かれていたりと色々熱いです。


象がこの映画の鍵なんですが、冒頭の象誘拐のシーンなど、普通に雑踏でパオーンがメキメキ暴れてるカットがあったりして、これホントに怪我人出てるよね?としか思えない迫力でさすがですタイ。あと象がけっこう上手に演技してて凄い。タイの方と象との信頼関係がこういうところにも現れていて、ああタイの人たちは本当に象を愛しておられるのだなあということが実感として分かり、それが象を奪われたトニー君の怒りに深い説得力をもたらしています。トニー君、今回は笑顔のほとんどない怒れる若者の役ですが、ちゃんと眼に怒りの感情がこもっていてエラいです。一緒に観ていた妻曰く「トニー君がだんだんイケメンに見えてきた」いやまあ確かに純朴な兄ちゃん顔かも知れませんが、それをカバーして余りある怒りの表情。その意味で彼は『マッハ!!!!!』の時からイケメンですよ!ムキャー!と力説しておきたい。以上、よろしくお願い致します。