カジノロワイヤルの手帖

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「第一阿房列車」内田百間

第一阿房列車 (新潮文庫)
元祖鉄ちゃんでもあるエクストリーム偏屈じじいこと百間先生が、ただ鉄道に乗りたいがために「なんにも用事がないけれど」列車に乗って全国各地へ行って帰ってくるだけという画期的すぎる旅行記。なんかこう銀河鉄道にでも乗っているかような、夢のなかを旅しているような浮遊感と、百間先生&お供の弟子が繰り広げる噛みあわなさ過ぎる会話のおかしさが絶妙。百間先生→偏屈ボケ、お供→ハイパー天然ボケ、というハイレベルなボケ同士がぶつかり合うツッコミ不在の異次元問答を見よ!この二人の会話にとどまらず、百間先生独特の偏屈美学が炸裂した結果引き起こされる珍事件の数々がウヒャヒャヒャというこらえ切れない笑いを引き起こします。偏屈じじいが己の偏屈を貫き通した結果、列車に乗り遅れたりご飯を食べそこねたりして内心面白くないくせに、偏屈はやめずムッツリ座って体面を繕っているという、めんどくさいんだか可愛いんだかわからない偏屈ぶりが微笑ましい。炸裂する偏屈芸。愛すべき偏屈道。面白いので続きの第二第三も読みたい所存です。来たぜ百間ブーム!(個人的に)


…と思いつつ古本浪漫堂に行って、数年前から棚の定位置を占めたまま全く売れる気配を見せなかった百間コーナーを見たところ…ない!根こそぎ売れてしまっている!そこだけ本棚にぽっかりと穴が!ギャー!店長いわく、最近複数のお客さんがまとめて買っていったとのことで、これはもしや本当に来てしまったのか…世間に百間ブームが…と内心ガクブルした次第です。乗り遅れないように早く続きを手に入れよ。もういっそ全集買うか。極端です。


第二阿房列車 (新潮文庫)

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第三阿房列車 (新潮文庫)

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