カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

本・雑誌

「動く家の殺人」歌野晶午

歌野晶午の家シリーズ第三弾。前作「白い家」が消化不良気味でしたが今回はひねってきましたね。途中までは「これこのまま終わっちゃったら仏の顔カウントダウン二機目が死亡だなあ…」なんて舐めくさった考えで読んでおりましたが、そうは終わらず「ぬうう」…

「スティール・ボール・ラン」(17)荒木飛呂彦

待ちこがれましたぜ続刊。大統領ギン立ちのあと、「いともたやすく行われるえげつない行為」があって、あれまどうすんですかこの後!という状態からまただいぶ待たされまして、ようやく続刊が発売になったので即座にゲット。即座にむさぼり読み。 いやあ盛り…

「五つの時計」鮎川哲也

「黒いトランク」を再読して、その人智を超えたアリバイトリックに唸ったオイラは浪漫堂店長おススメの短編集「五つの時計」を購入。店長、いつもお世話になってます。こんど「黒い白鳥」「憎悪の化石」「死のある風景」あったらお願いします。 いや話がずれ…

「蒐集家」(異形コレクション)井上雅彦 監修

個人的に短編集、アンソロジーの類いは好物でして、例えば「日本怪奇小説傑作集」なんかはオイラの愛読の書だったりするわけですが、なんでかというと寝る前に読むにはちょうど良い長さだから。というわけで鮎川哲也や中島河太郎によるアンソロジー、岡本綺…

「聖☆おにいさん」中村光

最近お気に入りなのがこの漫画。イエスとブッダが下界でバカンスを楽しむために東京は立川でアパートをシェアして月々26万の生活費でつつましく過ごすというシチュエーション・コメディ。話だけ聞くと宗教ネタだけに一瞬手に冷や汗を握りますが、読んでみる…

「テースト・オブ・苦虫」(1)(2)町田康

人間、生活しているとどうも腑に落ちない事があったり納得できないことに遭遇したりしますが、その局面で「何か腑に落ちんけど、そんなことにこだわっていても仕方ないし、先に進もう」という人と「ちょっとまてオレは納得いかんどういうことだそこへ直れ」…

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明

平山夢明の著作、デルモンテ平山名義のコラムは大好物で、この人の文章はある種の天才ではないかと常々思っておりましたが、まさか日本推理作家協会賞受賞、および「このミス」一位を獲得するとは、まさかまさかで尻から前立腺がはみ出すような驚きでした。…

「黒いトランク」鮎川哲也

高校の頃「名作だから」という理由だけで挑戦。しかし本書劈頭にあるように「まことにこの事件は、地味で退屈な上にテンポが遅」かったため、「論理に始まり論理に終わる」この物語の真価を全く分からないまま読了。というか斜め読み。という鮎川ファンの方…

映画秘宝(MAR.2009)

この表紙は素晴らしすぎる。額に入れて飾りたい。というかポスター欲しい。ただし、『ヤッターマン』の映画自体は観たいかと言われると「…」です。でも、三池崇史監督だしなあ。何か大変な事になっているような気もするし…。まあ、観るかどうかは公開された…

昨日読んだ本

えー風邪引いてました。 こういうときは布団にくるまって寝てるに如くは無しなので、ひたすら読書。 ホッグ連続殺人 (1981年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: ウィリアム・L.デアンドリア,真崎義博出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1981/10メディア: 文庫こ…

「犬神博士」夢野久作

長らく角川文庫で絶版となっていた本作が突然の改版発行!なんで?なんで?書店でこれを見つけたときは目が点になりました。夢野久作の文庫で入手できる作品は現行本古本ともにだいたい読んでいるつもりですが、「ドグラ・マグラ」に次ぐ代表長編の本作は未…

「一日江戸人」杉浦日向子

江戸漫画家であり江戸研究家でもある著者による、江戸の人々の暮らしを解説したコラム集。「長屋の生活」「浮世風呂」「食」「夏の過ごし方」みたいな町人の暮らしから、「将軍の一日」「ザ・大奥」のようなVIPの暮らしまで、詳細かつ判りやすく書かれた名著…

「水の迷宮」石持浅海

旭山動物園のごとくダメダメな状態から奇跡の復活を遂げた水族館。そこで三年前謎の死を遂げた従業員。その命日の今日、水族館を襲う影なき脅迫者!一体犯人の狙いは?そして起こる殺人…。水族館の従業員は犯人を探すべく、客に動揺を与えないよう極力配慮し…

「MW(ムウ)」手塚治虫

漫画の神様・手塚治虫の夢と希望が満ちあふれていないフォースの暗黒面がスパークする傑作。主人公の結城美知雄は女のように美しく華奢な外見ながら、幼いころ浴びた毒ガス「MW」の影響でモラルや良心が大脳からまったく欠落してしまったという因果者で、…

「放浪探偵と七つの殺人」歌野晶午

浪漫堂店長おすすめの一冊。歌野晶午は「長い家の殺人」「葉桜の季節に君を想うということ」としか読んでなくて、前者は処女作ゆえの未熟さとトリックのトンデモさがやや不満で、後者は超絶の叙述トリックに心底ひっくりかえって、その両極端な印象に実力を…

「横溝正史読本」小林信彦・編

これ、以前は文庫本にものすごいプレミアがついてて、一冊一万円という驚きのこのお値段で取引されてたらしいのですが、先日めでたく復刻。横溝ファンとしてはマストでしょうと早速購入してみました。 中身は、横溝正史と小林信彦の対談、横溝のエッセイ、乱…

「マコちゃんのリップクリーム(2)」尾玉なみえ

出ました待望の新刊。しょっぱなの「カバティカバティカバティ…」でいきなりのカウンターパンチ。さすがじゃ。とページを繰ると前作以上に暴走したカオスワールドになっており面白がる反面次回3巻で打ち切りになりはすまいかとファンとしては期待と心配が相…

杉浦日向子ブーム

ここ一年くらい自分の中に杉浦日向子ブームが来ていて、先日もamazonにて買い残していたちくま文庫の著作を買いあさって読んだのですが、やはり全作品中でも際立って良いのが「百物語」「百日紅」「合葬」の三作品。「百物語」は江戸時代の雰囲気を十分に味…

美輪明宏がジョースター家の血を引いている疑惑について

もうすこしマッチョになったら若い頃のジョセフ。あるいは学帽をかぶっている点から承太郎か。頭にチョココロネを三つ乗せたらジョルノにもなれるな。だれかこの方の首の後ろに星形のアザがないか調べてください。スタンド名は「ブラック・リザード」で能力…

ワンダーJAPAN9

特集・四国ワンダー!愛媛出身の私としてはすぐさまアマゾンでポチッとな。産業遺産ということで愛媛県新居浜市東平の別子銅山遺構が載ってるかな、と思ってたらもっとディープなところに行ってましたよ。銅の製錬所があった新居浜市沖のS阪島。伏せ字になっ…

「歯と爪」ビル・S・バリンジャー

プロローグより抜粋。 彼の名はリュウ。生前、彼は奇術師だった───ハリー・フーディニやサーストンと同じような手品師、魔術師で、その方面ではすばらしい才能をもっていた。ただ、早死にしたため、ハリーやサーストンほど有名にならなかっただけだ。だが彼は…

「慟哭」貫井徳郎

幼女連続殺人事件の捜査(とドロドロした警察の内幕)。生きる目標を失っていかがわしい新興宗教にのめり込んでゆく男。一見何の関連もなさそうなこれら二つのストーリーがカットバックされ、終幕に向かうにつれてこの二つがどういう形でリンクするのか?と…

「パラドックス学園」鯨統一郎

どうやらパラレルワールドに迷いこんでしまったらしい主人公は、パラレル学園のパラドックス部、略して「パラパラ部」に入部。そこの部長はポーで先輩はドイルとルブランとクリスティで、同輩にカーもいるのに、この世界には推理小説というジャンルの書物が…

「スティール・ボール・ラン(16)」荒木飛呂彦

本の帯に「大統領起つ!」とあっておっとついに大統領が…と思って読んだらホントに大統領がお起ちになられていました。この帯のコピー考えた人にはタイムボーナス1時間と粗品を贈呈したい。あと小太りでチンチクリンだったハズの大統領がこの巻でいつの間に…

「怖い話はなぜモテる」平山夢明/稲川淳二

…とタイトルにありますが、これ読んだから合コンでモテモテでお持ち帰りもバンバン、とかそういうことは別に無いので注意。要は怖い話…「怪談」が、なぜ人を惹き付けるのか、特に著者二人の書く/語る怪談になぜ吸引力があるか、という点を対談形式で互いに…

「パプリカ」筒井康隆

いわゆる「サイコダイブもの」(というジャンルを今勝手につくりましたが)の長編。主人公のパプリカは精神病を患った人の夢にジャックインして、精神病の原因となるトラウマの存在を突き止めそれを解消するという夢探偵。というくらいの予備知識で読み始め…

「これぞ日本の日本人」松尾スズキ

えー自分の中では松尾スズキは『殺し屋1』で変態暴力双子の二郎と三郎(実は三つ子。一郎はすでに二郎三郎によって殺され済み)をメチャクチャ楽しそうに演じて画面を血まみれの阿鼻叫喚にしていた人なのでそのインパクトのみで「不気味に怖い人」箱の中に…

「猫の舌に釘をうて」都筑道夫

最愛の女性を他の男に取られてしまった「おれ」。その鬱憤をはらすために「疑似殺人」を思い立ち、行きつけの喫茶店で憎いあんちくしょうに似た男に風邪薬をこっそり盛ってストレス発散!という梅雨どきの廃墟のように陰湿な行為を実行に移したところ、タダ…

「探偵映画」我孫子武丸

「探偵映画」というミステリ映画の撮影途中、謎解き部分の撮影だけを残して監督が失踪。しかも結末は監督しか知らない。残されたスタッフとキャストはパニックに陥り、これまで撮影された映画の内容から結末部分の謎を解きにかかるのであった。というこうい…

「書を捨てよ、町へ出よう」寺山修司

「職業:寺山修司」を名乗る著者が世間に向けて放ったさまざまな文章型パンチの集積。詩あり俳句あり短歌あり、評論ありエッセイあり、警句あり批評ありアジテーションありの寺山空中コンボ。平均化された毎日を生きるよりも、住居は橋の下でいいからスポー…