カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

電気グルーヴ "J-POP"

J-POP
待ったなあ。8年ぶりの新譜。思えば前作"VOXXX"は個人的に大傑作でございました。炸裂する卓球のポップセンス、めくるめく怒濤の打ち込み、意表を突いたリズムマシンの音色、瀧と卓球の狂いまくった爆笑リリックなどなど、当時の自分は衝撃をボディブローのように次々喰らいながらパンチドランク状態で聴いていました。まりんが抜けて、電気の電気たる部分がむき出しになった分、煮詰まりまくった毒素があまりに濃過ぎて逆に付いて行けなくなっていた方もおられたようですが、逆にその毒素が好きな方にはこれはもうたまらない濃厚汁になっていた訳で、当時の自分は狂ったように聴いておりました。


で、久々の新譜です。人を喰いまくったジャケとタイトルだけでもう期待ぶくろがパンパンです。というわけで遅ればせながら買ってきて聴いたわけでございます。



感想:

うわーストイック。てか、ジ…ミ…?


テイストとしては、かつて電気が当時のメジャーな音楽シーンでピュアテクノに挑んだ"DRAGON"や、卓球の趣味炸裂のソロ"KARAOKE JACK"に近いかも知れません。でも、これらのアルバムには残っていた諧謔、というかギャグ的要素は今回はほとんど無く、リリックも深読みできそうですが、どちらかというとライムの方に徹しており、かつてリスナーを悶死させた笑いの要素はかーなーりー希薄です。楽曲も、無機質さをより高めたピュアなテクノとなっており、メロディも希薄、音楽的にもほぼワンコードかオンベース進行で卓球のポップセンスも今回は抑制されています。8年ぶりのカムバックアルバムでこのストイックな内容は逆に凄い。この8年で大人になったのか電気グルーヴしかしこの内容と、ジャケ及びタイトルを考え合わせた場合、そのギャップが今回最大のヤンチャなのでしょう。あと、いまCDプレーヤーが死亡しているのでCDラジカセで聴いたのですがこれは良くなかったかもなあ。それなりに低域の出る環境で、高音圧で聴いた場合、また違う側面が聴こえてくる…かも…知れません。

VOXXX

VOXXX