カジノロワイヤルの手帖

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ドラゴン・キングダム

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ジャッキー・チェンジェット・リー夢の初共演!という興味の無い方には「凄いのそれ?」と言われてしまいそうだけども心にドラゴンが棲んでいる方にとってはうおおおおお燃ゆる!というそういう方々のための映画決定版。いやー観るまでは正直心配だったですよ。正味共演といっても『ヒート』のデ・ニーロ&アル・パチーノの如くなんだ一緒に演技してねえじゃねえか状態では全く嬉しくありません。ましてやこの二人は功夫スターなのですから直接対決をどうしても期待してしまいます。それがなかったらガッカリだよなあ。まるで具の無い饅頭だよ(昔の功夫映画によく出てきたやつ)。と観る前から期待と心配が相半ばしていたのですね。


話は完全にファンタジーです。現代アメリカの功夫映画オタクのヒョロヒョロ青年がチャイナタウンの骨董屋じじいから預かった妖しげな棒の力で古代中国と思われる国にタイムスリップ。なんとその棒は孫悟空の如意棒で、青年は力を失って悪の皇帝に石にされた孫悟空に如意棒を返して復活させ、ひいてはこの国の圧政から人民を解放しなさいという使命を負わされる…。というまとめてみると実に中二魂あふれる内容。そのヒョロヒョロ青年を鍛え導くのがジャッキー・チェンジェット・リー。という展開にこの映画実は功夫映画オタクの夢だったというオチなのではと心配のあまり手に汗を握ります。


しかし、ジャッキーとジェット・リーが顔を合わせた瞬間そんな不安は吹き飛びましたね。うおお、闘ってるよ、闘ってますよ二人が!すげえ!ここは時間をたっぷりとかけて魅せてくれます(コレオグラファーユエン・ウーピンなので実は三者の夢の共演と言ってもよろしい)。いやあふたりとも身体動くなあ。ジャッキーは久しぶりに酔拳炸裂ですしジェット・リーは往年の見事な棒術をまた見せてくれます。こういう二人と行動を共にしてたら強くならない訳が無い。とヘタレだった青年もじわじわと強くなってゆき、一行は如意棒の返却のために悪の皇帝の刺客と闘いながら目的地を目指すのでした。


アクションもキレがよく、途中笑いあり涙ありロマンスありと娯楽映画の王道を行ってます。何気にキメ細かい描写も差し挟んであったりしてとてもウェルメイドな仕上がりです。ハリウッドと香港映画の幸せな合体がここにあります。特に香港映画(中国映画)の世界進出ぶりを強く実感しましたよ。そういやジョン・ウーの大作『レッドクリフ』も公開が迫ってるし『ハムナプトラ3』は古代中国が舞台で蘇った皇帝がジェット・リーだしで、なんだか大陸(が舞台)の映画が盛り上がってる印象があります。北京五輪の年だから興行のほうもそれを意識してぶつけてきてるんでしょうね多分。


タイトルバックは古き良き功夫映画にリスペクトを捧げまくったデザインで、ここに作り手の愛を感じると同時に心の中のドラゴン魂に火がつきます。そういや公開初日の21時の回でしたが、結構客が入ってました。男子グループ多し。きっと小学生ぐらいの頃に心の中にドラゴンが入った人たちなのでしょう。思い当たる人は必見!です。