カジノロワイヤルの手帖

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「『狂い』の構造」春日武彦・平山夢明

「狂い」の構造 (扶桑社新書)
サブタイトルが「人はいかにして狂っていくのか?」とあり、お堅い内容を想像してしまいますが、そこはそれ平山夢明先生の対談なので全く逆。お堅いタイトルと扱っているテーマに反して内容は不謹慎極まりないシロモノになっています。対談相手の春日武彦がそのへんにブレーキをかけているのかと思いきや、逆に平山夢明に好き放題喋らせて「ああ、そう」とテキトーに相槌打ってたり、「あれは治んない、治んない」などと身も蓋もない事をスッパリ言い切っちゃったりするので不謹慎度にさらにターボが掛かっています。平山夢明のマシンガントークは時折脱線し、何故か本書のテーマに全く関係ない松田聖子の生え際が後退している件」についてスパパパパとまくしたてたりするので春日武彦も「ハハハハハ、何の話だよ」と呆れ返りながら笑っているという、コレは何だ。精神科医と鬼畜作家の漫談か。ウヒヒヒヒ。と笑いながら読めたりする訳です。


しかしタダの巷談だけの本ではなく、さすがに狂った人に関してのエキスパート二人だけあって、実際の狂った事件を中心に「おおっ」と思う掘り下げ方をしている訳です。特に、ここ最近の雑でIQの低い犯罪については非常に切れ味鋭い。「『面倒くさい』は狂気の孵卵器」とか「おかしい人は物事の優先順位が入れ替わっている」とか、おかしい人の「オレって王様」理論とか、「結局『病』という環境に身をおいて、ぬくぬくとした毛布を作り上げてしまうと、人間はなかなかそれを脱がない」などの説得力がありかつドキリとさせる説が次々出て来てさっすがーですが、そういった人々にたいして春日武彦「治んない治んない」といちいち言い切ってるのがまたオカシイ。まあそういった専門家の鋭い意見を織り込みつつ、全体的には平山夢明ことデルモンテ平山のギャグセンスが炸裂している対談集となっております。デルモンテ平山ファンは必読の不謹慎本。