カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

圧!倒!的!力!技!『パシフィック・リム』(ネタバレ有り)

Pacific Rim Original Motion Picture Soundtrack
監督:ギレルモ・デル・トロ。主演:チャーリー・ハナム菊地凛子。気がついたらこのブログも半年以上放置の刑でしたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。昨年末以来実に久しぶりに映画館に赴きましたのでここに謹んでご報告です。お題は各所で評判の『パシフィック・リム』。半年ほど前から動画サイトで予告編を見ては盛り上がり、公開後はツイッターのタイムラインに並んでくる絶賛絶賛また絶賛のコメントにこれは大変な事になっておる!と期待玉がむくむく膨張していたわけでございますが、ようやく行けた。観に行けた。


や、予告の段階で、凄まじい内容であることはもう判り切っておったわけです。巨大ロボットVS大怪獣!操縦方法はジャンボーグA!発進時はパイルダーオン!必殺技はロケットパンチ!といった80年代に少年時代を過ごした元ガキンチョの琴線にビンビンくる内容が、実写で、しかも思い付く限り最高のビジュアルで展開されようとしておる!なんということか!予告を何度も何度も何度も繰り返し見て盛り上がった元ガキンチョ。もうすぐ42歳です。


で、これはもう最高の環境で観ないと申し訳が立たん!と思い、IMAX 3Dの劇場を選択。じつはこれ初体験だったので、画面に集中するためにもあえて吹き替え版で。普段は吹き替え版を極力避ける私でしたが、今回は客寄せを狙ったキテレツなキャスティングも無く、むしろ私のような元ガキの琴線を狙い撃ちして池田秀一林原めぐみ玄田哲章といったその筋の方々を集めているため、そちら方面での抵抗は皆無でした。良かった。本当に良かった。


内容に触れる前に言うと、IMAX 3Dにおけるこの映画の鑑賞体験は最強の臨場感で、画質、立体感、音響、どれをとっても凄まじいものがあり、迫力の点ではもはや何かが極まってしまったと言っても過言ではないかと。なので以下の感想もそのつもりでお読み下さい。





感想:迫力超ド級!圧倒的力技!


とにかくこの迫力は尋常ではない。身長100m近い巨大ロボと大怪獣が格闘するというだけでも迫力満点なのに、それがまた動きや重量感、構図や音響で更に迫力倍増するよう全力でブーストされてるもんですから、冒頭のアラスカ沖の戦いが始まった途端にもう心の膀胱が失禁です。巨大な鉄の塊がギシギシ軋みながら、その重さをヒシヒシと感じさせつつ、圧倒的なパワーとキレキレの動きで凶悪な怪獣をどつき倒す!この、巨大さ&重さを感じさせつつ動きがベラボーにカッコイイというのがミソで、その暴力的なまでの迫力に、観客も打ちのめされ圧倒されます。映画に翻弄され制圧されると言ってもいい。


序盤からこの調子なので、中盤の香港防衛戦に至ってはもう終始脳からアドレナリンとドーパミンが出っぱなし。巨大ロボチームと怪獣チームの団体戦、しかも夜の大都市で、立ち並ぶ高層ビルをなぎ倒しながらの肉弾戦。思う存分どつき合うロボと怪獣。殴っても殴ってもビンビン向かってくる怪獣と、心をへし折りに来るようなえげつなさ満点の攻撃。それにさらされボロボロになりながらもなお戦いを止めないロボの勇姿。暴れる怪獣を成敗するため、鉄パイプの代わりにタンカーを引きずって立ち向かうロボの後ろ姿にはヤクザ映画もかくやの男気すら感じます。武器にしても、鎖状から一瞬で剣状に固まるチェーンソードとか、胸のハッチが開いてロケットランチャーがバババババシュンとか、もう字面にしてみると超絶に小5感が溢れてますがこれがえらいことカッコイイ。見せ方にケレンがある。いちいち見栄を切りまくり。こうした武器をどう見せれば一番カッコよく見えるのか、作ってるヤツがちゃんと判ってます。もうビンビンです。


この2つのシーンは本当に素晴らしく、感動の余り本気で目頭が熱くなるレベルで、こういう夢の様な映像をまさか拝める日が来ようとは…と感無量。ガキの頃の自分に観せたら人生踏み外しそうな凄さ。ただこれに続く最終バトルは、怪獣の巣窟に乗り込んでいってバルサン炊くが如く核で一掃、という話なので、やっぱり最後の頼みは核かよ!という残念感と、それに伴いロボが防護服に見えてくるガッカリ感が漂ってきます。やっぱり観てて燃えるのは最後に立っているのはどっちだというロボと怪獣の肉弾戦なわけで、何もかも吹っ飛ばす相打ち覚悟の自爆戦法はストーリーとしては燃えるかも知れませんが、我々が本当に観たいものからは少し外れていると言う気も。ラストシーンはボロボロでもいいから何とか立っているロボの勇姿でお願いしたかった。いやホント。


ストーリーもドラマ部分も、ハリウッドのメジャー級作品として必要な程度には一応入ってます。一応。確かにそこだけ取り出せばこれは薄いし、並の映画なら突っ込みどころとして叩きの標的になる部分かも知れません。しかしそんなことは全く問題にならないのがこの映画の凄いところで、そんな弱点は圧倒的な格闘シーンの前に吹き飛んでしまう。どうだこれカッコイイだろ?スゲーだろ?おまえらだってこういうの観たかっただろ?と言いながら作り手が全力で出してきた映像がこれで、それが余りに凄すぎるためになまじ弱点のことなんかもうどうでも良くなってしまう。というかむしろそんなまだるっこしいシーンは要らん!もっとバトル見せろ!とすら思っちゃうという。こんな豪快な力技見たことない。できる限り劇場で、でかい画面とでかい音で、可能ならばIMAX 3Dで、この迫力をご堪能されたし。こういうのが好きなオッサンは何を置いても必見です。




以下落ち穂拾い的にコメント。


・数あるロボのうち、個人的に方に二発の大砲を背負った日本製の「コヨーテ・タンゴ」がガンキャノンみたいでお気に入りだったのですが、いつ出るかいつ出るかと登場を楽しみに待っていたところ、回想シーンでチラッと出てくるだけの扱いでガッカリでした。あの肩のキャノンをズンバカズンバカ撃ちまくる姿はそれは燃え燃えのハズだったのですが、無念です。


菊地凛子は良かったですね。初登場時の黒衣で傘持って佇んでる姿がイイんですが、なんだか見覚えがある。何へのオマージュだろう?あと耳の下にチョロっと入った青いメッシュが気になって気になってしょうがなかった。


・音楽、音響共に良し。エンドタイトルの曲が印象的な主題で燃えます。これはサントラ欲しい。


・国内マスコミで話題となった芦田愛菜ちゃんですが、泣きの演技が余りにガチで、お、恐ろしい子…と思った。