カジノロワイヤルの手帖

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なぜ怖くないのか『クリープショー』(1982)

監督:ジョージ・A・ロメロ。脚本:スティーブン・キング。読み捨ての俗悪アメコミ雑誌の映像化、という体をとった全五話のホラーオムニバスです。懐かしいな!しかもロメロ&キングってなにげに夢のタッグじゃないか。弟が部屋にポスター貼ってたくらいには身近な映画でしたが、当時中学生の私はそんなことを知る由もなく。

 

 

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こんなん部屋に貼っとったんすわ

 

 

アメコミの映像化という体裁だけあり、本編中も登場人物がビックリするトコでズギャーンと集中線が入ったり、ショックシーンになると照明が赤くなったり青くなったりと前編に漫画チックな演出が炸裂しており、これがあの不朽の名作『ゾンビ』で虚無的な世界を撮った人の映画なのか…と真顔になりますが、ロメロだって雇われ仕事を真面目にこなすだけの社会性はあったのだと思いたい。いやそういう設定からくる演出への影響はさておき、問題は脚本があのS.キングだということです。

 

 

 

 

当時はまだモダンホラーの旗手と言われてましたが、今やなっては世界のホラー小説の最重鎮。出る作出る作売れるわ映画化されるわ、それはそれは凄まじい才能の持ち主であることは疑いない方ですが、ではなぜこの映画はこんなにも怖くないのか。

 

 

そもそもコミック形式なので怖い以前にうすらコメディ味が漂うとか、コミック風故に画面が平板だとか、ロメロの演出がちょっと借りてきた猫感を漂わせるとか、理由はいろいろありそうですが、一番の理由は小説と脚本の差ではないかと思われます。

 

 

キングの小説は、話の骨格だけ取り出すとそれほど複雑でないことが多いのです。幽霊ホテルに住んだら取り憑かれました、政府に超能力を開発されたので逃げたら追われました、などなど。しかしそのシンプルなプロットを、巧妙なキャラクター配置と濃厚な心理描写、凄まじいディティールで恐ろしく分厚い物語にしているところに妙味があります。

 

 

 

 

その掘り下げ方は文章ならではのもので、映像、しかも短編だと非常に難しくなるのは容易に想像できます。シンプルな話の骨格だけを一通り映像化してみてもスカスカになるのは当然で、どのエピソードも、小説のキングならいくらでも掘り下げて面白くできそうなところを、プロットに一通りの肉がついているだけなので全体に味がお薄めになっているところがつらい。まあ各話30分にも満たない尺ですから、どうにも掘り下げようがないというのもわかりますが…。

 


というわけで、ホラー映画としてはちっとも怖くないのですが、みんなでポップコーンかじりながらキャーキャー観る用途としては深刻になりすぎずちょうどよい塩梅でした。そういった意味で実に80年代っぽい映画ですね。

 

 

あと妙に出演者が豪華だったり、トム・サヴィーニの特殊効果が満喫できたり、あのキング御大みずから主演してコテコテ迷演技をご披露したりというお祭り感があります。なおあのレスリー・ニールセンがでサイコな金持ち役で出てますが、どうしてもドレビン警部の顔がちらついてしまい、妻を寝取った男に復讐しながらもこのあと盛大にボケてくれるんじゃないのか、と妙にソワソワしちゃうのが痛し痒しでした。お若いころのエド・ハリスも出ておられます。若いなあ。しかしすでに髪は力尽きかけていました。

 

 

 

あと、虫が嫌いな人は決して見ちゃ駄目な映画の筆頭としてとして名高いので気をつけましょうね。バルサン!