カジノロワイヤルの手帖

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あふれる下世話パワー『資金源強奪』(1975)

監督:ふかさくきんじ(何故かひらがな表記)、主演:北大路欣也。チンピラの欣也ちゃんは兄貴のため組のため、と鉄砲玉に志願した結果8年の懲役を喰らいますが、その8年間で何があったのでしょう。古巣の組の資金を強奪するプロジェクトを企画。ムショで知り合った爆弾魔の川谷拓三&室田日出男を仲間に引き入れ、組の結縁(結婚じゃないよ)式典で開かれる賭場を襲って3億5千万の現金強奪に成功。しかしそんなに話がうまく行くワケないのがこの手の映画です。組には追われる。仲間はトチる。しかも組の方は癒着している刑事(梅宮辰夫)を追っ手に雇うのですが、辰ちゃんも未成年の愛人を囲うのに金が要るので余計な欲を出してきて話が余計ややこしくなります。

 

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言っときますが辰ちゃんはこんな渋い姿で出てきませんよ

 

主人公の欣也も含めて、登場人物が全員すこぶるつきのエゴイストなので、うるわしい友情や男女の絆などはありそうでいっこもないといううるおいのない世界が繰り広げられ、昭和50年当時の猥雑な日本の盛り場描写も相まって、なんだか一時期の香港映画でも見てるみたいな錯覚に陥ります。日本もたかだか50年前はこんなに下世話なパワーに溢れていたのだなあ…と、画面の端々に映り込むトルコ風呂のネオンに感無量です。

 

登場人物たちに全然感情移入出来ない分、えげつない騙しあいを野次馬的に眺めている気分で、これはこれで。ときどき出現する「んなアホなw」的なシーンもよろしい(通天閣の上から狙撃したりとか)。アクションシーンもパワフルでふかさくきんじは平仮名になってもぜっこうちょうです。タイミング的には「仁義なき戦い」シリーズが一段落したところで、あっちでは出来なかった軽妙なノリを意識的に作ってる感じ。

 

そんなこすっからい世界の中、感情移入を拒むキャラでありながら、それでもなおスターの輝きで観客を魅了してしまう北大路欣也がすごくイイですね。こういう役者の力で引っ張っていくところが、映画の持つ根源的な魅力である気がします。