監督:ケン・ラッセル。主演:ウィリアム・ハート(なんとデビュー作)。アメリカで大学教授をやっているエドワードはアイソレーション・タンクを使った幻覚の研究をしていました。人間の意識拡張のかのうせいをかんじる!もっとドラッグを!と勢いづいたエドワードは、メキシコの部族の儀式に参加して幻覚をもたらす秘薬をゲット。それをキメて改良したタンクに入ったところ、意識拡張の過程で精神が進化の過程を逆行し始め、その影響で肉体も変容してしまい…というSFホラー。
ととのいません
高比重の液体を貯めたタンクの中にぷっかり浮かび、光と音を遮断したら人間どうなっちゃうの?という興味が先に立つ映画ですが、現実にアイソレーションタンクを体験した人の多くが幻覚を見たとあって、そこでスピリチュアル方面に進んでしまうのが80年代初頭という時代を感じさせます。人間が細胞の中に持っている原初の記憶に触れる、といったムー的オカルティズムを入口に、さらにスピリチュアル方面にエッジが効いていく…のかと思いきや、影響が肉体方面にダイレクトに出てしまうあたりがホラー映画ですね。幻覚映像はだいぶドラッギーで、CGなどない時代のアナログ合成の味わいはなかなかのもの。
ただ、影響がだいぶダイレクトすぎるというか、しゅっとした男前のウィリアム・ハートが全身毛モジャの類人猿と化して人間を襲ったり夜の動物園でぴんぴん獲物を追い求めたりするくだりはちょっと暴走気味というか、ここだけ違う映画みたいになってました。
そのような危険な実験ながら、根が科学者のエドワードは元妻が止めるのも聞かず「しんりをつかむのだ!」と実験を重ね、ついに進化の遡上を究極までやっちゃったところ何かが一周したらしく一種のミュータントみたいな姿に変化してまばゆい閃光とともに謎のパワーを解放。実験室を派手にふっとばしてしまわれます。なんとなくあの『AKIRA』を連想しなくもない。影響与えたんですかね?
果たしてエドワードは無事もとの人間に戻れるのか!みたいな展開になるかと思ってたら、最後は元妻との愛のパワーがスパークして変身がとけたのでよかったね、みたいな無理やり終わらせた感のある結末に至ったので久々に「そんなあ…」という思いに包まれました。そうか。大昔に日曜洋画劇場で目撃したラストシーンはそういうことだったか。
子供の頃の記憶の答え合わせで観たという理由もあり、一体あのシーンは何がどうなってあんな大変なことに、という興味があったのですが、そうか。夫婦愛か。大事よね。わたくしも奥さんを大事にしなくては。そんな思いが去来しましたがこの映画を見て思うことではありませんね。おわり。
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