カジノロワイヤルの手帖

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シェフの気取らない一皿『ファミリー・プロット』(1976)

監督:アルフレッド・ヒッチコック。主演:バーバラ・ハリス、ブルース・ダーン。家族計画の映画じゃないよ。いんちき霊媒師のブランチ(バーバラ・ハリス)は引っ掛けた金持ちのおばあちゃんが生き別れの甥っ子を探していると知り、報酬の一万ドル目当てに人探しを引き受けます。恋人のジョージ(ブルース・ダーン)を巻き込み、持ち前の無鉄砲さと霊媒師ならではの営業力を駆使して甥っ子と思しき男にあと少しまで近づいたものの、肝心の彼はあろうことか身代金誘拐の常習犯なのであった…というサスペンス・コメディ。

 

 

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ファミリー・プロットとはお墓の区画のことだそうで

 

 

ヒッチコックと言えばサスペンスの神様ですが、一口にサスペンスとは言っても『サイコ』みたいな陰惨モノから『ハリーの災難』みたいなブラックコメディまで硬軟使い分ける幅広な御仁です。そんな神様の投げ玉のなかでもひときわ軽妙なのがコレでした。いいよねえ匠のこういう力の抜けた、肩肘張んなくていい小品。引退間際のシェフが朝飯前のノリでサッサッとつくった、ざっかけだけど味わい深い一品料理みたいな。ヒッチコックのそんな遺作ですね。

 

 

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ヒッチコックだあ〜、と力んで観る必要が全然ないところが却って良く、ほらどうしてもヒッチコックというと名画揃いなので見る方も思わず正座したりシャンとしたりしがちですが、そんなノリは全く無用でおせんべでもかじりながらカジュアルにみるのがよろし。

 

 

インチキ霊媒師を演じるバーバラ・ハリスが猫みたいなコケティッシュさで魅力大。ほんとにヒッチ先生はこういう金髪娘がお好きですねえ。相方のブルース・ダーンは彼女の尻に敷かれ気味のうだつの上がらない青年役ですが、偏屈でも偏執狂でもないブルース・ダーンって始めてみたぞ。悪役にウィリアム・ディヴェインとカレン・ブラックというクセつよ70's俳優が揃っているのもまた味わい深し。

 

 

 

 

一見関係のなさそうな二組のカップルがやがて交錯するその筋運びの軽快さ。全体に漂うとぼけた味わい。カーアクションなんかもあったりしますがそこも何だかドタバタしててカワイイ。軽妙洒脱、という言葉がぴったりの、ちょうど50年前の映画でした。