カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

40年後の鼻ピク『地中海殺人事件』(1982)

原作:アガサ・クリスティー。監督:ガイ・ハミルトン。主演:ピーター・ユスティノフ。名探偵ポワロはある富豪から「別れた女優から返されたダイヤの指輪が偽物なので彼女と交渉してくれんか」とまことにウキウキしない依頼を受けます。場所は地中海某国のリゾートホテル。まあリゾート気分なら…ということで船酔いに苦しみながらホテルに乗り込んだポワロですが、ホテルに集まった面々が揃いも揃って女優に対し複雑な感情を有しているご様子。こんなギスギスした人間関係が一つ屋根の下でリゾートしようものなら何も起きないハズがなく、女優は白昼堂々浜辺で絞め殺されてしまいまいた。ほらー。と思わなくもないポワロでしたが、自分の目前で犯行に及んだ犯人にムカついたのか捜査に乗り出します。しかし、関係者には全員ガチガチのアリバイがあって…。

 

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劇中ではポワロの水着姿も拝めます

 

 

これ、小学生の時に父と観に行った『ランボー』の併映でたまたま観ました。実に40数年ぶりの鑑賞で、知恵がついてから観ると脚本がアンソニー・シェーファーやん!とか、出てる役者がジェーン・バーキン、マギー・スミス、ダイアナ・リグ、ジェームズ・メイスン、ロディー・マクドウォールと実に英国っぽい豪華さだな!とか、意外と話は地味だな、とかいろいろな発見がありましたね。こういう楽しみ方ができるから年を取るってのも意外と悪くない。

 

 

何より音楽がコール・ポーターで、南欧的な明るいリゾート感を更に華やかにしているのがよろしいですね。この音楽が象徴しているように、映画は終始牧歌的での〜んびりしたコージー・ミステリーの趣です。呪われた一族とか秘密の部屋のある屋敷とか陰惨な見立て殺人とかとは無縁の、晴れた日の午後三時にテラスで読む推理小説みたいな雰囲気なのがまた味わい深い。

 

 

そういう雰囲気ですし、道具立てや事件が地味な分、ミステリ的な興味は『オリエント急行殺人事件』や『ナイル殺人事件』より落ちますが、そんな雰囲気のなかで名優たちの舞台劇的な演技の掛け合いみたいなのを味わえます。とくに殺される女優役のダイアナ・リグの高慢っぷり、ホテルの女主人を演じたマギー・スミスの姉御っぷり、幸薄い若妻役のジェーン・バーキンの謎のヒラヒラ衣装、などなど女優勢がバチバチ火花を飛ばし合う様には男性陣もやや分が悪いご様子。がんばれ男性!

 

 

パフェに砂糖をドバドバかけるポワロ

 

 

ところで冒頭、伏線となる殺人事件があるんですが、死体役の人の鼻が元気にピクピクしており、あら〜死にたて!とか思ってたら「死後2時間です」。うーんこの。いや鼻がピクピクしないカットはなかったのか。死体役の人は鼻炎だったのか。撮り直しは効かなかったのか。このやらかしカットを放置するのは相当に肝が太くないとできない行為です。さすがはベテランのガイ・ハミルトン!しかも同じカットが終盤の謎解き場面にも出てきて二度までも鼻ピクがハッキリわかってしまう。40年経って年を取ってもこのカットが放置された理由はサッパリわかりませんでした。終わり。

 

 

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