監督:ジョン・カーペンター。主演:ジェイミー・リー・カーティス。ハロウィンの夜にボーイフレンドとよろしくやっていた姉を、いきなり包丁でグサグサやらかしたマイケル・マイヤーズくん(6さい)。当然捕まって病院行きですが、15年後に裁判のため移送されるスキを突いて脱走。故郷の町に舞い戻り、ハロウィンの夜に羽目を外すヤングたちを血祭りにあげるのでした。という不条理ホラー。
なかなかイカすデザイン
初見時は、マイケル・マイヤーズが殺戮を行う動機や理由がさっぱり解らず、かつ刺されても撃たれても元気に襲ってくるという不条理さも理解できず、VHSのざらついた暗い画面で観たこともあっていまひとつピンとこなかったのですが、そういう設定の映画であるということを念頭に置き、かつ配信のクリアな画質、大型テレビの明るくパキッとした画面で観たところあんまし印象が変わらなかったです。ただカーペンターの作風を知ってから観たことで、ああ、これは説明が足りてないんじゃなく、最初から説明する気がないのだ、ということは判りました。
この地味で不条理な物語がなぜヒットしたのか、そしてなぜ連綿と続編が作られ、多くの類似作を産んだのか、ということをずっと考えながら観てたりしましたよ。
ハロウィンの夜に来るブギーマンという超自然的存在と、血なまぐさい殺人を結びつけた、都市伝説的な不気味さ。郊外の閑静な住宅地という身近な空間で起きる惨劇。安全なはずの自宅で襲われ追い詰められる逃げ場のない恐怖。親の目を盗んでセックスに励む若者への他罰的な感情。そうした要素が、皆がなんとなく共有している集合的無意識を刺激したのかしらん、などと愚考します。たしかにそういう映画はこれ以前にはなかった。あるいはあっても忘れられていたのかも知れません。その点ではエポックな作品だったといえるでしょう。
で、ひとつエポックなヒットが生まれると、その安易な模倣が雨後の竹の子、梅雨時のカビみたいに生えてくるのが映画界の常ですが、そうした模倣作にこすられまくったたあとではオリジナルが地味に見えてしまうのもよくあることで、後年のいろんなスラッシャー映画を経たうえでこれを観た私がピンと来なかったのもムリからぬことかも知れません。
スクリームするスクリームクイーン
しかし、そうは言ってもやはりカーペンター。演出は安い模倣作に比べて格段にしっかりしているのが解ります。遠くからこちらを見つめる無表情な仮面の男。暗闇から現れるナイフ。ただの郊外の夜がこんなにも怖く見えてしまうのはやはり監督の優れた演出があってこそでしょう。監督本人による抑制された音楽も不気味さを醸し出します。やりおる。
…などと感心しつつ、せっかく出てきたドナルド・プレザンスがラスト以外全く役に立っとらんやんけとか、凶悪犯が逃げてんのに警察呑気すぎだろ!など、んん?んんんん?と思わず唸る要素も見逃せません。いや殺人起きてんだから非常線くらい張んなさいよ!などとつい思ってしまう。
まあそのへんには目をつむりつつ、アメリカの都市生活者が持つ根源的な恐怖に迫った作である、ということを念頭に置いて観るのがよろしいと思います。以上、よろしくお願い致します。
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