カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

見える人/見えない人

仕事で、取引先の方の事務所兼スタジオにお邪魔してきました。コンクリ打ちっぱなしのオサレなマンソンで、同じ棟に札幌でも高名な少女漫画家とか音楽関係の事務所が入っているところです。
そのマンションの下にたどり着いて上を見上げると、この暑い中、部屋を密閉してエアコンをガンガン回しているはずなのに、窓が全開になっています。「変だな…」と意識の底の方でちらりと感じましたが、特に気にする事もなく目指す一室へ。
インタホンを押して挨拶し、部屋に招き入れてもらいました。が、スリッパを履いて、フローリングの床へ一歩足を踏み出すと、一種異様な感触が。
…なんだか、床が妙にジャリジャリするのです。まるで砂でもまき散らしているかのような…。
いぶかしがる私の顔色を察知したのか、取引先の某氏がいきなり種明かしを…。

「僕結構霊感あるほうなんですけど、この部屋に霊道が開いちゃったみたいで…塩まいてるんです。誰も信じてくれないんですが」

見れば部屋の隅と、対角線上の部屋の隅、ちょうど開いている窓のあたりに、紙皿にこんもりと盛られた塩が。

「お盆が近くなると結構出てくるんです。その入り口のところから、窓に向かってダダダダっって走り抜けていったり…あと仕事してるとね、後ろから触ってくるんです。腕とか」

…それ、怖くないですか?

「そんなにタチの悪いのは来ていないので大丈夫です。タチの悪いのはね、触られてるとこうブワッと鳥肌がたつんですよ」

塩って効くんですか?

「効きますね、おかげで悪さするのがそんなに入ってこない…。ほんとはこういう塩化ナトリウムみたいな奴じゃなくて、粗塩がいいんですけど。」

私自身は霊感のレの字も無い人間ですが、さすがにこういう現場に直面したのは初めてでした。話の合間にも「ラップ音が…あ、いま鳴りましたね」(わたくしには一瞬のことでよく判りませんでしたが、「パキッ」という音は聞こえました)。オーブ(人魂)が目の前を飛ぶこともあるそうです。
それ用のチャンネルを持っていない人間には、いつもと代わらないオサレなマンソンの一室としかみえないのですが…。

時々機材にもイタズラをするそうで、仕上げた2MIXのトラックに原因不明のノイズが載ったりするんだそうです。タチの悪い奴はマシンを落としてきたりするそうで、それはどう考えても仕事のじゃまなのでマジ勘弁してほしいと思いましたが、そんな環境でも平然とバリバリ音を作っている某氏は、日頃から見えているだけに妙に慣れている風情で飄々と話してくれました。