カジノロワイヤルの手帖

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東北ぐるぐるツアー(顛末):3日目(後)

しつこく続き。
さて岩手県二戸市金田一温泉郷に着いたのは日もトップリと暮れなすった午後6時半。緑風荘というひなびた旅館に到着しました。平日のせいか、宿はすいてて人陰もまばら。我々の他には数組の宿泊客しかいないようです。
年季の入った建物に入り、部屋に通され、係の人が出て行ってしまうと、古びた部屋はしんとして、何となく落ち着くような、ほっとするような、それでいてなんだか油断できないような雰囲気が…。
実はこの旅館、ザシキワラシのいる旅館としてその筋では超有名なミステリースポットで、宿泊してザシキワラシに出会った人は何故かたいそう幸福に恵まれるといいます。過去にも原敬とか、金田一京助とか、遠藤周作とか、本田宗一郎とか、それはそれはそうそうたる面子が宿泊しており、そのためか主にワラシが出現すると言われる「槐(えんじゅ)の間」は向こう3年先まで宿泊の予約がビッシリというから驚きです。まあその部屋に泊まることはできなかったのですが、その「槐の間」でなくても出会う人はワラシに出会うということで妖怪好きな我々としては期待ぶくろをパンパンにしながらお泊まりに挑んだわけですね。
遭う人は金縛りに遭ったり、夢枕にワラシが立ったり、寝てると足をつるっと触られたりするらしく、またおかっぱ頭の子供の姿を見かけることもあるとか。まあわたしも同行者も平素は霊感のレの字もありゃしねえという素質の欠けっぷりのためか、残念ながら一夜を過ごしても何かを見たり感じたりということはありませんでした。つか廊下とかでバッタリ出会ったときのためにキャーとか言ってみる心の準備はしていたのですが。
しかし…写真には妙なものが写っておりました。いわゆるオーブと呼ばれる光の玉が、部屋で撮った写真にチラホラ…。このデジカメはここ数年来使っているもので、普通に室内で撮った画像にこういうモノが写ることはまず無かったのですが、何故かこの宿の内部で撮った場合に限って異常に高い確率で光の玉が写るのです。巷で言われているオーブというのはほぼ間違いなく何らかの光学現象だと今でも思っているオイラですが、しかしたいした反射物もなく、光源の向きにも関係なく、これだけ高い頻度で写ると、これはちょっと不思議としか言いようがありません。
宿の若旦那にこの話をしたら「ああ、それはザシキワラシがそっちに遊びに行ってるんでしょう」と普通に言われました。ザシキワラシの正体はこの若旦那の26代前に実在した身分の高いお子の霊であると言われています。そういうのが部屋に遊びにきて、身の回りをちょろちょろしているのかと思うと、何だか懐かれたような気がしてちょっとほのぼの。オーブについても「誰でも写せるものではない」という話なのでさらに高まるほのぼの感。相手は霊(というかもう神様)なのに。
宿を立つ時、最後にもう一枚だけ、と思って写真を撮ったら、ここにもオーブが写っていました。なんだか最後にワラシがお別れを言いにきてくれたような気がして、ちょっと名残惜しくなりましたが、しかし旅はまだまだ続くのであった。以下次回。