カジノロワイヤルの手帖

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田園に死す

田園に死す [DVD]
はい、ひさしぶりの映画ですね。でこの映画は観るの二度目なんですが、一回目はまさに煙に巻かれたようなポカーン状態に叩き落とされ、先生わかりませんと手の一つも上げそうな感じでした。しかし一つ一つのシーンの印象が余りに強力なので観賞後のインパクトは大変なものがあり、そのインパクトの正体をもっかい確認したいという気持ちもあって二度目の鑑賞に及んだわけであります。


結論から言うと…めちゃめちゃ面白かったです。こいつは決してストーリーを追っちゃいけない。いやストーリーらしきものはあるんですが、ギリギリ映画としての骨組みを保つぐらいにまで解体されているので「考えるな、感じるんだ」くらいに思っとけばよろし。この映画は物語ではなくて「詩」の連なりなんですよ。そう思って観ると、最初から最後までほぼ隙間無く詩的でイメージ豊かなシーンが詰まっていて、しかもそのイメージがいちいち面白かったり、不気味だったり、シュールだったり、気色が良かったり悪かったりと、この手の前衛映画にありがちな退屈さを感じさせません。畳をめくると床の下は恐山だった、とか、突如川の上流から流れてくる五段飾りの雛人形とか、そのイメージの飛躍が面白い。極めつけはラストシーン、薄暗い民家の中で食事をとっている光景。しかし突如壁がドリフのセットのように倒れるとそこは新宿のど真ん中だった、という…。


キーイメージとしてはやっぱり恐山の荒涼とした風景と、東北の田舎の閉鎖性&土俗性、そして見世物小屋のようなサーカス団の三つ。加えて白塗りの登場人物たち。これらが渾然一体となって1974年当時のアングラ文化を凝縮したような濃さになっています。ビジュアル的にはつげ義春の漫画にかなり近いものがある。そういえばクレジットに花輪和一の名があったな。寺山修司花輪和一→ガロ→つげ義春。あ、つながった。という訳でアングラ好きは必見の名作。意外にもカンヌ映画祭パルム・ドールノミネート作品。マジか。以後ちょっと寺山修司を追っかけてみたいと思います。