カジノロワイヤルの手帖

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「パプリカ」筒井康隆

パプリカ (中公文庫)
いわゆる「サイコダイブもの」(というジャンルを今勝手につくりましたが)の長編。主人公のパプリカは精神病を患った人の夢にジャックインして、精神病の原因となるトラウマの存在を突き止めそれを解消するという夢探偵。というくらいの予備知識で読み始めたのですが、筒井康隆が出力を上げたときのニューロティックな文体が本作ではかなり抑制されていて、かなり読みやすいです(初出が雑誌連載だったせいもあるでしょう)。しかも話は夢探偵だけでなく、それを可能にする理論がノーベル賞の候補に挙がった事によって、パプリカの正体である千葉敦子(精神病学者)が研究所内の政治的争いに巻き込まれ、さらにそれがエスカレートして…という広がりをみせ、サスペンスたっぷりのエンターテイメントになっています。どんなんかなー、と思って何気なく最初をパラ読みし始めたら止まらなくなってしまいました。面白い!


後半になると夢と現実が混濁してきて、このへん再々似たような経験をしている自分としてはとても面白く、さらに終局に向かうにつれて物語はトンでもない方向へ暴走していき口アングリ。えーそんなのアリなのかよ!と思いつつページを繰る手が止まりません。


でですな、これ最近アニメで映画化されてるんですね。こっちは未見でいずれは観たいと思ってたのですが、このトンでもない話を一体どのようにまとめているのか。小説の方ではかなり直接的に描かれていたエロティックな要素はどのように描かれているのか。俄然興味がわいてきました。これは観とかな。というわけで借り物のDVDがあったはずなんだけどどこ行ったかな。探さな。

パプリカ [DVD]

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