いろいろ観たり読んだりしてますが感想書くのが追いついてないのでした。
『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(2024)監督:アダム・ウィンガード
まだまだ現在公開中。うひひひひひ。なんだこれ!こういうの大好き!昭和後期のゴジラ映画のお子様向けゆるゆる部分を抽出精製してこんにちの映像技術と演出力と資金パワーで煮詰めたら出来てしまった突然変異の傑作。
とにかくコロコロかチャンピオンかという少年漫画ノリを通し、昨日の敵が今日の友となっていけ好かない敵を今から一緒にこれから一緒に殴りに行こうか、という激アツ展開をこともあろうにゴジラとコングが繰り広げているという異常事態です。また敵役の巨大猿が少年漫画の姑息な敵みたいな憎たらしさで、そいつがゆらりと立ち上がる様子を心の目でみるとクロワッサンみたいなリーゼントとギラギラの特攻服がオーバーラップし背景には「!?」の写植すら浮かんでくるというマガジンみたいなヤンキーまんが感。目的を見失って殴り合うゴジラとコングを「よしな!」と仲裁するモスラ姐さんはスケバンの風格。舎弟ポジションの子供コングもいたりして、たまさかのヤンキーまんがまつりが2024年の今現在劇場に降臨、という大変な事になっていました。
かと思えば、冒頭コングが虫歯で苦しんでいるのを人間がいつの間にか用意していた珍兵器で治療して差し上げるなど、ウルトラマンタロウもかくやの第二期ウルトラシリーズノリも炸裂しており、往時を知るおっちゃんたちほどあの頃を思い出してニヤニヤが止まりませんね。
『ジャッカルの日』(1973)監督:フレッド・ジンネマン
20年ぶり4回目くらい。しびれるドキュメンタリータッチと仕込み銃のギミック。相前後して原作も読みましたが、だいぶ原作に忠実だったものの、映画のほうがリアリズムが強いですね。原作の方はジャーナリスティックな題材を扱いつつ、意外と古典的なサスペンス感があります。
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)監督:押井守
20年ぶり。もう何回観たか分からない。今観ると特撮パロディとか第三帝国ネタとか危険な描写が多いですが、当時のオタクのノリが忠実に出ているとも言えます。そこに加えられる寺山修司もかくやのシュールレアリスム。当時のオタク趣味と前衛とエンターテインメントが奇跡的なバランスで合体した名作です。星勝の音楽も良いですね。エンディングテーマの「愛はブーメラン」にはアレンジに当時のヒット曲「情熱物語」(ドナ・サマー)の面影を感じるなど。
『フライングハイ』(1980)監督:ジム・エイブラハムズ、デヴィッド・ザッカー、ジェリー・ズッカー
30年ぶり2回目。おなじみZAZの出世作。アメリカでは半ば古典化しているナンセンスギャグ映画ですが、日本人にはある程度文化的な前知恵がないと全部面白がるのは難しいかも。とはいえちゃんと理解できるしょうもない(褒めてる)ギャグも盛り沢山なので楽しめます。後半出没するやたら軽快な身のこなしの変なオジサンがジワジワくる存在感。
『赤い影』(1973)監督:ニコラス・ローグ
初見。美しいベネチアの町並みと、素晴らしい色彩の映像美。美しさと恐ろしさを同時に表現するあまりに鮮やかな赤。画面のどこかに血のような赤をみつけるたびに怖く、しかし見つめずにはいられない吸引力。