カジノロワイヤルの手帖

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「チープ・スリル」ジャニス・ジョプリン

チープ・スリル
ちょっと前のこと。職場の先輩に連れられて足を踏み入れた場末のバー。そこには楽器がセッティングされていて、気の向いた常連がヨッコイセという感じでギグを始めるのですが、そこで何気なく演奏されたジャニス・ジョプリンの"Ball And Chain"が言いようもなく素晴らしかった!ヴォーカルはついさっきまでカウンターで呑んでいた女性でしたが、おもむろにマイクを持って歌い始めると、うおお、ジャニスが!ジャニスがいる!この人は何だ!イタコか何かか!ジャニスの霊をおろして歌っているのか!と思わず聴き惚れてしまう魂のこもったシャウト。バックの演奏(先輩はさも当たり前のような表情でギタリストとして加わっていました)も飲み屋のノリで始めたとは思えない息の合い方でオイラはロックグラスを片手にしばし恍惚と。この"Ball And Chain"のインパクトがあまりに凄かったのでこのアルバムを買ってみました。聴いて思った事には、やはりあの晩あのバーにはジャニスの霊が降りていたのではないだろうかと。そのくらい滅多に聴けないものを聴けた気がします。
ちなみにこのアルバムを買ったのはジャケットの素晴らしさもあってのこと。『フリッツ・ザ・キャット』のロバート・クラムが当時の猥雑な雰囲気をこのジャケ一発で伝えてくれます。ライナーノーツにこのジャケの日本語版(!)が入っているのもおおいによろしい。