カジノロワイヤルの手帖

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遊星からの物体X

遊星からの物体X [DVD]
監督:ジョン・カーペンター、主演:カート・ラッセルおよび物体Xのみなさま。10数年ぶりに観直したけどやっぱり面白いですな旦那!南極基地内という極限状況のもと、次々と謎の宇宙生物に身体をスナッチされてゆくみなさま。そして始まるギスギス疑心暗鬼大会。おまえ乗っ取られとるやろ!何言うてんねんわしゃ人間じゃい!おどれの方が怪しいんじゃボケ!だいたいこのような意味の会話がえんえんと花咲く中、折にふれ姿を現す物体Xくんの変態度というか、奇形度というか、みてくれのガイキチ度は制作から25年を経た現在でも実に感動的でハラショーです。下手にCGとか使ってない分、有機物感とヌルヌルのシズル感が昨今の清潔なCGクリーチャーとは一線を画してます。


物体X君は実にシャイなお方なので、登場シーンは観直すと驚くほど少ないのですが、その数少ない登場シーンのインパクトがどれもこれも重度のトラウマ必至なのでDVDは小さいお子様の手の届かないところに置いてあげてください。ええー物体Xくんがちょっとしか出てこないのに大丈夫なの?思われる方もおられるかもしれませんが、大丈夫です!前述のようにミステリでいうところの「雪の山荘」状態で、雪上車や無線機は軒並み壊され、逃げ場の無い中、また一人、また一人と犠牲になってゆかれるみなさま。「あいつは昨日の晩一人だった。怪しい」「そういえばあいつはずっと犬と一緒だった。怪しい」と金田一少年のようなミステリ風味がみなぎっているのでそっちのサスペンスで緊張状態が続きます。その緊張状態のなか、絶妙のタイミングで登場する物体Xくん!場の空気を読むのが上手いです。合コンとかには重宝するでしょう。


今や古典と化してしまったこの映画、まさかリメイクや続編やらが作られやしないだろうな…というのがオイラの心配袋に長年溜まっている案件ですが、作られても良さそうな状況でありながら作られないのは、この映画がいかに今日の眼で観ても突出しているか、ということの証左ではありますまいか。このセンスを超えるのは並大抵では無理でしょう。…そういやこの映画自体も実はリメイクでしたね。