カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

本・雑誌

「ハサミ男」殊能将之

シリアルキラーのハサミ男君は次のターゲットとなる少女の身辺を洗い上げて犯行の計画をこちこち立てていました。準備万端、いざ事に及ぼうと接近したらばその少女は先を越されて殺されており、あろうことかハサミを首に突き立てるという自分の手口をすっか…

「アクロイド殺し」アガサ・クリスティー

というわけで読みました。前にも書きましたが超有名なこの作品、ネタバレしてない状態で(あるいは模倣作を読んでない状態で)読むのが非常に難しいという作品でして、オイラも例に漏れず大いにネタバレした状態から「ミステリの歴史的に意義のある作品だか…

「さかだち日記」中島らも

中島らものアル中ラリ中っぷりは言うまでもありませんが、それを断っている「酒断ち」状態の日記なので実に淡々としてます。途中睡眠薬を飲んで寝たら夢遊病を起こしてしまい寝たままウイスキーを買い求めて寝たまま一本空けてしまった、とか、アムステルダ…

「スティール・ボール・ラン」(9)荒木飛呂彦

なんだかまた大変なことになってきています。あとカバー絵すげえ。

「阿修羅ガール」舞城王太郎

舞城王太郎の小説にはある傾向があるように思います。小説は一人称形式で、かならず主人公は一本芯の通った人物であり、自己や自己をめぐる人々、自分の過去やこれからの事柄についてとても透徹として確固たる哲学を持ち、その確固たるところがとても魅力的…

「殺戮にいたる病」我孫子武丸

健全で平明な文章で語られる、世にも凄惨な連続殺人の物語。最初は内容の病み方に反してあくまで健康的な文体に物足りなさを感じ、最初の何ページかを読んだだけで放り出してましたが、思い立って最後まで読んでみると…!おおっとこれ以上は言えねえ。ホラー…

「日本の昔話」柳田国男

民俗学の始祖による日本の昔話スタンダード集。小さい頃見聞きしたいろんなお話が詰まってますが、特筆しておきたいのはその美しく格調高い日本語。とくに「はしがき」における、大人が子供に諭して聞かせるような、優しく、ふくよかで、包容力のある日本語…

「スティール・ボール・ラン」(1)〜(8) 荒木飛呂彦

というわけで現在ウルトラジャンプの方の連載が盛り上がっているのでつい単行本に手を出してしまいました。ただのキャノンボールレースの話として始まった物語が、いつの間にか「聖人の遺体探し」というどえらい方向に向かっていくあたりで俄然盛り上がりま…

ワンダーJAPAN (2) 2006 SUMMER

はたして続刊できるのであろうか?と人ごとながら心配だった廃墟珍スポ専門誌の続刊がめでたく出たということで謹んで購入。表紙にもなっている大阪の軍艦アパートがまさに圧巻。21世紀になってもまだこういう物件が現存していたということ自体がすでに驚…

「ビーチ・ボーイズのすべて」中山康樹

良くあるアーティストの全曲解説本ですが、立ち読みしてみたら結構濃いい内容だったのでつい衝動買い。つらつら読み始めたら、うはは、妙に面白いなこれ。バイヤーズ・ガイドとして、あるいは資料として面白いのではなく、通して読むと著者自身のビーチ・ボ…

「耳そぎ饅頭」町田康

この人のエッセイは初めて読みましたが、床に臥せって潰れたアンパンのごとくグッタリしていたにもかかわらずゲラゲラ笑ってしまいました。この文体は卑怯だ。反則だ。「ますらお」「大岡越前」とかそういう言葉をゲリラのように出してくるだけでもおかしい…

「不味い!」小泉武夫

さいきん読書づいていますが、まあ風邪みたいなもんだと思ってください。この人の食に関するエッセイは好きで時々読んでいますが、テーマが「不味いもの」だけあってゲテモノ映画を好むオイラとしてはなにかこう言いがたいシンパシーがわいてきます。観光地…

「事件」大岡昇平

昭和53年度日本推理作家協会賞受賞作。映画化歴、ドラマ化歴あり。という予備知識を持って読みましたが、これは厳密には推理小説ではなかったです。ありふれた田舎の殺人事件を題材に、その裁判の過程をまるで教科書をひもとくように描いてゆきます。これは…

「くっすん大黒」町田康

うは。うはは。うははははは。面白すぎます。思わず吹き出さずにはおれません。とにかく言語感覚がおかしくてそれだけで笑いが。「ひょっとこ参上」「たにし野郎が」「ロボット同心」「淫乱バスト・秘密の大戦略」といった単体でも破壊力の高いフレーズが独…

「エジプト十字架の秘密」エラリイ・クイーン

エラリイ・クイーンの国名シリーズ代表作、らしい。首なし死体という道具立てや、サスペンスフルな終盤の追跡劇はなかなか面白かったのですが、犯人が途中で判っちゃってしかもそれ大正解ときた。ただし判ったと言っても推理のロジックでではなく、小説のロ…

「あなたに似た人」ロアルド・ダール

有名な本なので買って読んでみましたよ。いわゆる「奇妙な味」小説を代表する短編集ですが、正直、同じ「奇妙な味」なら阿刀田高の方が切れ味よくて面白いと思ったであります。有名な「味」「おとなしい凶器」「南から来た男」の3編の有名たる所以を確認し…

「煙か土か食い物」舞城王太郎

本を読み漁っていると、時々この人はなんで小説を書こうと思って書いたんだろうと思う事があり、その人がふとした動機とキッカケで己の内面を文字の上にひねり出してしまい、その結果が執筆とか編集とか出版とかその他諸々の面倒くさい過程を経て、うっかり…

「封印作品の謎2」安藤健二

おお、続編が出たか、と買って何気なく読み始めたら、引き込まれて最後までイッキ読み。前作以上に息詰まる力作ルポルタージュでした。 「キャンディ・キャンディ」「ジャングル黒べえ」「オバケのQ太郎」「サンダーマスク」といった作品が、現在なぜ封印状…

「ドグラ・マグラ」夢野久作

…というわけで最近読んだ本。高校のときに読んで衝撃を受け、以後7、8年に一回くらいのスパンで読み直している愛読書。内容の迷宮っぷりもさることながら、独特の人を喰った文体がタマラナイ。一人称を軸に、三人称、論文、演説、談話、遺言状、シナリオ、活…

「ドルリー・レーン四部作」エラリイ・クイーン

子供の頃に読んだ事がありましたが、ふと思い立って4冊全部通読。新潮文庫の大久保康雄氏の訳(正確さがどうなのかは判らないけど、日本語としてこなれていて、読みやすい)で全部読みたかったのですが、新潮は何故か「最後の事件」が出ておらず、「Z」も…

大横溝正史まつり

えー同居人改めカミさんが以前実家から持ち帰ってきた角川文庫の横溝正史が本棚で大量にうなっていたので何気に読み始めたらまあ止まらないこと夥しい。ここ何ヶ月かで一気に読んでしまったのでここに謹んでタイトル列挙。ちなみに「本陣」「犬神家」「手鞠…

ワンダーJAPAN 1 (2005 WINTER)

「日本の《異空間》探検マガジン」と銘打った、廃墟珍スポ巨大建築のなんと専門誌。こうして雑誌が成り立ってしまうほどに愛好家が増えたということでしょうか。まだ斜め読み程度ですが、この内容でコンスタントに発刊してくれれば結構な価値が出てくるので…

「ロマンティック食堂 尾玉なみえ短編集1」尾玉なみえ

秋のなみえ祭り第二弾。集英社の打ち切り姫こと尾玉なみえが少年誌から青年誌、果ては小学館の学習雑誌まで股にかけて書き散らしたアブクのごとき短編の数々を誰かが命がけでまとめたような気がする短編集。「疑って飲んでお酒に溺れて懊悩の海でしとどにな…

「スパル・たかし」尾玉なみえ

連載打ち切りから一年経っての単行本発売という不審さに、心の中で「大丈夫かなみえ!」とつぶやいてしまう待望の一冊。ハッキリ申し上げて一回読んだだけでは面白さがいまひとつ判りませんが、何度か読み返せば面白さがじわりじわりとヘルペスのように広が…

「パニック・裸の王様」開高健

読んだけど感想を書いてなかったので今書いときますよ。 開高健といえばわたしゃ高校の教科書に一部が載っていた「パニック」ぐらいか読んだ事が無かったのです。あとはおぼろげに「釣り好き」「美酒美食家」「サントリー宣伝部出身」ぐらいのイメージしかな…

未確認情報

尾玉なみえの単行本が二冊、10月に刊行とのmixi情報。一冊は雑誌連載もの、もう一冊は短編集との由。

「現代民話考」(7/学校・笑いと怪談・学童疎開)松谷みよ子

という訳で民俗学と都市伝説と怪談への興味が高じて読んでいるこのシリーズ。トイレの花子さんとか赤マント青マントとかのもはや古典的な怪談から、夜中に鳴るピアノ、動く人体模型などなど、学校にまつわる民話の種を、戦前から戦後を中心にひたすら集めた…

「ジョジョの奇妙な冒険」(34)(35)荒木飛呂彦

OA-DISCをゲットせよ! …のOAって何だ。オレは荒木だの略か。それはそれとして第5部も中盤の盛り上がりを迎えましたね。以後もフツフツと変態度を増してゆく敵キャラに期待したいと思います。 ところでやっぱり第5部っていわゆる腐女子の方々をターゲット…

「新耳袋 第十夜」木原浩勝・中山市朗

実話系怪談本のエポックもついに最終巻。 とりあえずお約束ということでバリバリと表紙カバーを剥いでみました。 ギョッとしました。 そのまま表紙をひらいてみました。 さらにギョッとしました。

「ユキポンのお仕事」(1)〜(9) 東和広

漫画喫茶で1巻を読んでみて惹かれるものがあり大人買い。グータラな飼い主をバイトで養うネコのユキポン(オス・3歳)のお話。ネコの手も借りたいを通り越して飼い主の生活をささえるイタイケなネコ、という意外性にまずツカマレます。それから六畳一間の…