カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

本・雑誌

「アイノカテゴリー」みうらじゅん

ご存知元祖マイブーマーことみうらじゅんの初写真集(といっても別に全頁みうらじゅんが裸で様々なポーズを、とかそういうことはない)。十数年にわたって撮り貯めた面白い写真、味のある写真を厳選してまとめた爆笑編。VOWネタあり、路上観察ありですが…

「肌ざわり」尾辻克彦

尾辻克彦こと赤瀬川原平の処女短編集が20年の時を超えて再度文庫化。超私小説と銘打たれた内容はこれまで氏が数々のエッセイで触れてきたものばかりなので親しみがあると言うかデジャ・ヴ感溢れると言うか正直またこのネタかよと思わなくもないというか、…

「宗像教授伝奇考」(1)〜(6)星野之宣

同居人がどこぞから借りてきたのが目の前に積まれていたのでつい手にとって読んでしまいました。中身は神話伝説の類にかくされた闇の歴史に迫る民俗学者宗像教授(マッチョハゲ)の活躍と冒険、というもので、中身はトンデモですがこれが面白い。「天皇のル…

「ジョジョの奇妙な冒険(文庫版)」(32)(33)荒木飛呂彦

えーと文庫版の続きがやっと出ましたね。ストーリー的にはまだまだ前半戦、やっと顔見せひととおり終了で盛り上がりはもう少しお預け、というところでしょうか。しかし5部の主人公はジョジョ史上最もヘンな髪型のわりに陰がうすい。脇キャラや敵キャラのキ…

「新 正体不明」赤瀬川原平

トマソンから路上観察へと発展したあげくついにワビサビの境地を切り開いてしまった感のある赤瀬川原平の最新路上写真集。なんだかもう禅の世界にみたいになっています。一見ありきたりな風景も、視点とフレーミングによって味のある写真に変貌するという事…

「仮面舞踏会」横溝正史

わりと後期の金田一もの。中断していた雑誌連載を十数年ぶりに加筆して完結させたものとの由。横溝正史って晩年になるに従って筆がくどくなってくるキライがあるんですが、この作品にもぽつぽつそれが現れかけてきております。それはともかく内容は堂々の本…

「失踪日記」吾妻ひでお

最近やたら評判のこの本、でこぽんさんから借りて読んでみました。ちなみにわたくし吾妻ひでおの作品はほとんど読んだ事がありません。 …。 この本の凄いところはいろいろありますが、一番凄いと思うのは情緒的にウエットな部分が全くないところ。そういう人…

「鬼火」横溝正史

横溝正史の非金田一もの短編集。全編にあふれる絵双紙趣味とグロテスク趣味。講談調の語り口と陰鬱な描写が印象深い表題作、小説内小説内小説という凝った構成の「蔵の中」、物言わぬ人体模型の白骨に失踪した父の面影を見る「面影双紙」あたりが際立ってい…

「墨戯王べいふつ」佐々木泉

同居人の知り合いの方が描かれた漫画だそうで何気なく手に取って読んだらけっこう面白かったであります。中国は宗の時代の実在の書家のはなし。文字に文字以上の意味を持たせられる「書」って面白いね。小さいころ習字教室に通ってた時にはこういう自由な世…

映画秘宝(六月号)

特集その他は琴線にグッとこない感じでしたがデルモンテ平山氏のコラムはあいかわらず天才的だと思います。あ、あと谷ナオミがよかった。

「金閣寺」三島由紀夫

同居人の蔵書より。最初は文章のあまりの韜晦っぷりに「よく眠れる本だなあウヒヒ」という感じで読み始めましたが慣れてくると大丈夫。むしろ計算と推敲を重ねた名文といえます。その名文でひとりの屈折した男の心情を微に入り細に入り描き倒すさまはまさに…

「東京伝説・呪われた街の怖い話」平山夢明

怪談本ですが、この本が異常なところは恐怖の対象が超常現象ではなく生きた人間であるということ。狂った人間の狂った行動を怪談としてつづっているわけで、そういう意味ではかつてない怪談本と言えます。生きてる人間のほうが、血の匂いを感じさせる分恐ろ…

「夜の黒豹」横溝正史

ファンの間ではあまり人気のない金田一耕助の東京もの。エログロの描写がどぎつく、勢いで書き倒した感じはあるものの、トリックなどは割と丁寧に組み立ててあってそれなりに面白く読めましたが、しかし横溝正史も実はけっこうきわどいやつを書いてたんだな…

「三つ首塔」横溝正史

横溝ミーツ・ハーレクイン・ロマンな一編。横溝正史の女性主人公小説はかなりの確率でメロドラマ度が高いと思うんですがどうか。この本もタイトルのおどろおどろしさにかかわらず高メロメロ度を誇ります。そういう意味では眉間にシワ寄る小説ですが、それで…

「優柔不断術」赤瀬川原平

優柔不断流の家元とも言える著者の優柔不断論総括。しかし話はたんなる優柔不断論を超えて、世界の中の日本人論にまで発展していくのであった。…というわけでこれまでの赤瀬川エッセイの中から優柔不断成分を抽出してまとめた総括的な内容で、赤瀬川原平とい…

「野火」大岡昇平

なんでまた急に?と言われそうですが自分でも良くわかりません。本屋でたまたま文庫本を目にしたらつい買ってしまいましたよ。まあ高校の国語の教科書に一部が載ってて印象深かったとか、市川崑監督の映画版を観たいなあと思ってたとか、いろいろ動機として…

映画秘宝(五月号)

先日逝去された岡本喜八監督の追悼特集。「観てー!」と思う作品がまだゴロッゴロあるのですが、今度日本映画専門チャンネルで岡本喜八全作品一挙放映という太っ腹な企画があるそうなのでHDRの容量あけて迎撃の予定。 岡本監督といえば、生前二度ほどお話し…

「怖い本4」平山夢明

当主口上(まえがき)が一番印象に残ったとです。本編の印象がちと薄いのはきっと最近このシリーズを立て続けに読んでいたからでしょう。あとこの人の真骨頂は狂気をはらんだ物語こそにあると思うので、同じシリーズにある怪談でも、富士山麓にある気の狂っ…

ジョジョの奇妙な冒険(30)(31)荒木飛呂彦

というわけで第5部がようやく文庫化スタートで早速買ってきました。個人的に興味深いのが30巻のあとがき。表現の自由と出版業界の「自主規制」の間で思い悩む作者の心情がとてもストレートに記されております。文庫版5部完結時のあとがきにて、具体的に…

黒猫(エドガー・アラン・ポー)

同居人の蔵書より。なんか怪談みたいだなあ、ていうかまるきり怪談だよー、と思ってしまったのはつい最近まで平山夢明の怪談集を読んでいたせいでしょうか。ともあれアル中の男の強迫観念が細かく描かれてたところが面白かったでございます。ニャー。 ちなみ…