カジノロワイヤルの手帖

banの映画感想&小説漫画音楽路上日常雑感。

パプリカ

パプリカ [DVD]
えーというわけでやっと観ましたよ。むかーし「観てから読むか。読んでから観るか」なんてキャッチコピーがありましたが(古っ)、この映画はそのどっちをオススメするか非常に悩む迷う懊悩すという感じです。自分は読んでから観たクチで、登場人物や話のアウトラインが解っているのでそっち方面への興味は薄まっている反面、あのギャースな話を一本の映画としてどうまとめておるのかという興味が大きく、結果的に最後まで面白がって観ましたが、予備知識なしで映画を観た場合、ちょっと基礎的な人間関係や設定が解りにくいかも知れません。上映時間一時間半の映画ですが、ここは二時間に尺を伸ばしてですな、人物関係とか、セラピストとしてのパプリカの側面をもっと掘り下げて描いても良かったんじゃないかと。


多分作り手はそのあたりかなり割り切ったんじゃないかと思います。夢と現実が次第に混濁してゆくのが原作でしたが、映画では最初から夢と現実が混濁しているようにも取れる描写があって、物語の現実感そのものが最初から欠落している。となると割り切って残った部分と言うのは、やっぱりこれしかないでしょう。夢の映像化!というワケで、夢描写の奔放さ、痛快さは素ん晴らしい。自由奔放に宙を舞い変身するパプリカちゃんの颯爽とした魅力、ポンポンとテンポよく変わってゆく夢の場面の愉快さとおぞましさ。やっぱり一番力を入れたっぽいところだけあって流石だのうと唸らされます。あと平沢進の音楽が非常によいです。夢の中特有の言葉になっていない言葉というのを再現して音楽に載っけてある。これは上手いなあ。


パプリカの「赤」をキーイメージにした極彩色の映像は見ていてウットリしますが、でも夢を描いたにしては、「夢ってこんな極彩色だっけ」という違和感が無くもない。自分の夢を思い出してもどっちかというと彩度の極端に淡い世界だったり、そもそも夢の中で「色」を意識すること自体がないので、今朝見たばかりの「何か大人数の旅行を引率する夢」(あれ、似たような夢を前に見たような…)も、思い出しても色のイメージが浮かんできません。まあその辺は個人差ってヤツでしょうか。なので夢を見ている、と言うよりはドラッギーな幻覚を見ている、という印象の方が強かったです。


あと、原作ではめちゃくちゃダイレクトだった性的な描写はやはり、まあ、無理だよね。という感じで、ギリギリのところで排除されてます。原作はもうハシタないとかアラレもないとかを通り過ぎて大変なことになってましたので、これを映像化したら神!でしたが実現したら成人指定は免れないので痛し痒しでした。あとパプリカの声が林原めぐみなので実現してたらあんな台詞やこんな台詞があの声で発声されて声優ファンの皆様がエキサイツ(性的な意味含む)の挙げ句大パニックを起こしていたかも知れないと思うとやはりやらなくて良かった。ふう。終わります。


パプリカ (中公文庫)

パプリカ (中公文庫)