マメに読んでますが積み本がまあ減らないこと。
「恐い食べ物」松原タニシ(二見書房)
初読。前著「恐い間取り3」は事故物件とそれにまつわる人の生死のルポとしてひとつ筋が通っておりズシリと読み応えがありました。そこから毛色が変わって食にまつわる怖い話、不思議な話をあつめた本書。しかしさすがにそのテーマで数を集めるのは苦しかったと思われ、恐怖度はいまひとつ…と思いきや、巻末にて著者は思い切った行動に出ております。怖いかどうかはさておき、タニシは一体どこに向かっているのか。自らの心身を実験台にするのがこの人のオカルトに対する姿勢で今回もそれを貫いていますが、もうこれは最終的にタニシ本人が霊になってしまうところまで行き着いてしまうのではないか。とそんな心配すらしてしまう。無理するなタニシ。ご自愛だタニシ。続刊も待ってるぞタニシ!
「Gペンマジック のぞみとかなえ」崇山祟(ボニータ・コミックス)
初読。Twitterで流れてきたのを目撃、その独特の間と言語センスに掴まれてしまいつい購入。漫画家をめざす二人の少女と教師の熱血一代記。70年代くらいの少女漫画のパスティーシュですが、カワイイとシュールの間の微妙なラインをついてくる絵柄とじわじわくるワードチョイスでついニヤニヤしながら読んでしまう。ヤケクソのような結末もまた良し。著者が急逝したのが本当に惜しい。
「ひみつのしつもん」岸本佐知子(ちくま文庫)
初読。おなじみの悶絶爆笑エッセイ第三弾。今回も鉄板の抱腹絶倒っぷりでページをめくるたびに脳の思わぬ部位で笑ってしまう。他人の脳内世界を見せられるのがこれほど面白いとは…。それを飄々と描き出す筆致がよく、冷静な表現と切り詰めたムダのない文体が逆におかしさに拍車をかけています。自身のダメさ加減や脳内妄想をここまでの面白随筆にできるその才能に軽い嫉妬すら覚えるなど。飲み会で散々羽目をはずした翌朝に読むと、ああ、やらかしてるのは自分だけではないのだ。ここにもっとすごいお人が。といったセラピーにもなる素晴らしい書。既刊二冊とあわせて必読のエッセイ。
「本格ミステリ・エターナル300」探偵小説研究会編・著(行船文化)
初読。というか刊行ほやほや。2011~2021年の国内本格ミステリの名作佳作話題作を300冊集めたブックガイド。だけではなく、近年の国内ミステリ(小説だけでなく、ゲームや映像作品も含めて)の傾向やトレンド分析もおこなっておりたいへん助かる一冊。読みたい本がまだまだあるううううう。